菊川市の「mama’s Share Shop Soramame」にてスペシャルセミナーを開催致しました。
3連休、今年も良く晴れ、セミナー会場にお借りしているWinghomeさんのモデルハウスの白壁が青空に良く映えます。

目黒区の人気店のシェフたちが、お忙しい中、ご協力下さいました。今回で3回目です。

学芸大「リ.カーリカ」都立大「カ.リーカリ」を率いる、堤オーナーシェフ。
下目黒「アンティカ ブラチェリア ベッリターリア」の井上オーナーシェフ。
都内で何度も一緒にイベントをしている彼ら、お互いの事もわかっていますので、息もバッチリ。
真剣になったり、ふざけたりと、楽しみながら準備を進めます。

今回は、ここ菊川市の生産者さんが作る食材を使用させて頂きました。
たっぷりの朝採り野菜を、大きな出荷用のカゴいくつもに入れて届けて頂きました。
ロメインレタス。

ブロッコリー。

これら大量の野菜を、シェフの指示のもとアシスタントたちが刻んでゆきます。
アシスタントは毎回、友人や家族たち。ボランティアで手伝ってくれます。
彼らの助け無しには成り立たちません。

開場時間になり、皆さまが続々と。楽しみにして下さっていて、30分も前から待っていて下さった方も。

先ずはご挨拶からスタートし、セミナーに入ります。

オリーブオイルの基準や、どう搾油されて、私たちの所に届くのか。など。

今回も友人の協力でプロジェクターを使ったセミナーが出来ました。

こうした写真があるのと無いのでは、分かりやすさが全く違ってきます。

次はテイスティングです。

今回使用したオイル
  1. イタリア サルデーニャ州オリエーナ 2015年に収穫・搾油された単一品種のオイル(ボザーナ種)。乾燥した大地で有機栽培された実を、清潔且つ効率良く搾油。香りが高く、ポリフェノールが多いボザーナ種の特徴が良く出ている。葉の香り、苦みと辛みのバランスがとても良い。搾油後もう1年経っているが、それを感じさせないクオリティ。(Luna Vera 2015)
  2. スペイン アンダルシア州ハエン 2016年に収穫・搾油されたアルベキーナ種単一のオイル。収穫後4時間以内に搾油されている。収穫が始まった最初の日のオイル。草を刈った時のような爽やかな香り。甘みの中にシャープな辛みが後から出てくる。(First day of harvest 2016)
  3. エクストラバージンオリーブオイルとの表記があるものの、あるべきグリーン(植物由来)の香りは感じられず、酸味を連想させる酢のような香りがある。
  4. イタリア ヴェネト州メッツァーネ・ディ・ソット 2016年に収穫・搾油されたグリニャーノ、ファヴォロール、レッチョデルコルノ等のブレンド。収穫後数時間以内に、自社搾油所にて2段階方式で搾油。柔らかなハーブの香りやバナナなどのフルーツの香りが感じられる。マイルドな中に辛みも少しある。(Nostran 2016)

初めての方と今までもご参加下さっている方と半々くらいの今回。
初めての方にとっては、オリーブオイルの辛みと苦みが驚きのようでした。

お好みのオイルを伺うと、1、2、4番のいずれにも手が挙がりました。
これはどのセミナーでもそうなのですが、オリーブオイルに慣れてらっしゃる方ほど、辛みがあるタイプがお好みのようです。

4番のオイルの生産者にフォーカスしたスライドをご覧頂きました。

もう3度もお邪魔している、Verzen社。オイルの美味しさはもちろんなのですか彼ら家族の人柄にも魅かれ、彼らが暮らす里山へのノスタルジーもあり、とても好きな生産者です。

少し脱線しますが、その里山への郷愁は、まさにここ菊川の里山を想っての事でした。その時の訪問記はblogに綴っています。
http://the-terrace.at.webry.info/201604/article_7.html

こうして写真と共に生産者をご紹介すると、やはり皆さまも親近感を持ってくださいます。
単なる「オリーブオイル」では無くなり、「ダヴィデのオイル」と呼んで下さる方も。
生産者と消費者をつなげたいと思う私にはとても嬉しいことです。

長時間お付き合い下さった事に感謝しながら、ここでセミナーは終了です。

今回食材を提供下さった生産者の方々からご挨拶頂きました。

先ずは株式会社ソイルパッションの深川社長から。
「秋に種を蒔き、冬の寒さにあたったこの野菜が一年間で最も甘みある野菜」と。
ブロッコリー、ロメインレタス、グリーンリーフ、サニーレタスをご提供頂きました。

次は、株式会社美緑園の土井社長。

やぶきた茶の深蒸し茶葉と、粉茶をご提供頂きました。
封を開けた時からもう良い香りです。

お二人とも、ここ菊川の農産業を引っ張ってゆく若い力です。お話する言葉に力があります。

そして、最後にご挨拶頂いたのは、その若い力をまとめる立場でもある、トマト農園 平川ファームの平川氏。
大地の力を分けてもらっている、と常々おっしゃっている平川氏。
甘く濃い味のトマト、しかも皮が口に残らないトマトです。
説明よりも何よりも「先ずは食べてみてください」と。

皆さまお待ちかねのランチタイムです。

セミナー中からキッチンから美味しい香りや音がしてきていました。
キッチンではシェフたちが、家庭用の火力と鍋を使って工夫しながらこの大人数の料理を仕込んで下さっていました。

そらまめセミナーはいつも全員参加型。
配膳や片付けは交代で行います。

 

前菜:ロメインレタスのアンチョビソース&焼きポレンタ(井上シェフ)

炒めたロメインレタスがシャキシャキ。
上に乗った甘い玉葱と、アンチョビとケッパーの塩気が良い相性です。
香ばしい焼きポレンタと一緒に食べると、更に美味。

ここには4番のオイルがとても良く合います。
全ての食材をまとめる役をします。

外見とは裏腹に、繊細な井上シェフ。
こうして一つずつ、丁寧に仕上げています。

前菜:ブロッコリーと魚介とカラスミ(堤シェフ)

甘くて柔らかいヒイカは会場近くのスーパーで買ったもの。
柔らかめに茹でたブロッコリーと、贅沢に掛けられたカラスミを絡めながら頂きます。

これには文句なく2番のオイル。
ハーブの香りと、ほんの少しの辛みが添えられ、カラスミのエグミはオイルによってまろやかに。

プリモ(リゾット):レタスと米・大麦・古代小麦、生ハムのリゾット(堤シェフ)

シャキシャキの葉野菜にちょっぴり苦み、プチプチした食感の麦類が甘く、とろりとしたスープが甘み、生ハムが塩気。
全てがバランス良くここに収まっています。
一見、重そうに見えますが、とても軽やかで優しい一皿。

このリゾットには1番のオイルを。爽やかな緑の葉の香りを持ちながら、アーモンドの皮のような苦みをも持つオイルは、優しいリゾットのスパイスに。

このリゾットが軽やかなのは、この通り、たっぷりとレタス類が入っているからです。

プリモ(パスタ):トマトのスパゲットーニ(井上シェフ)

トマトソースの上には、パルミジャーノと燻製されたリコッタチーズが掛かっています。
更に、バジルとすりおろしたレモンの皮。

先ずはトマトの甘さに驚きの声が上がります。
そのトマトの濃厚な甘みとチーズの味を、太めの麺が受け止めつつも、レモンが爽やかに香ります。
その繰り返しが癖になる美味しさ。

ここには2番のオイルを。
このように強めのソースには、オイルは引き立て役に回ります。これもオイルの大切な役目です。

セコンド(肉料理):やぶきた焼き豚(堤シェフ)

やぶきた茶と塩麹でマリネした豚肉。
これに更にやぶきた茶をまぶして、焼き上げています。

先ずは何も掛けずにそのまま召し上がって頂きます。
お茶がまるでハーブのよう。香りと苦みが豚肉の甘みを引き出します。
次にオイルを掛けて。1番のオイルです。

すると、不思議なことに、お茶の香りがぐっと引き立ちます。
元々、オイルには香りを取り込むという特徴があります。
それゆえではあるのですが、とにかく香りが増幅され、まるで摘み立ての茶葉と一緒に食べているかのよう。
香ばしく甘い豚肉、香り高い茶葉。


2番ではお茶の香りと喧嘩し、4番ではお茶に負けてしまう。
1番しかない組み合わせでした。

「やぶきたやきぶた」
ダジャレから始まった料理ですが、最高の一皿、且つ、アッビナメントとなりました。

コントルノ:揚げブロッコリーのマッシュポテト風

ブロッコリーを一度素揚げし、それをペースト状にしています。他には芋や玉葱、グアンチャーレ(豚頬肉の塩漬け)も。

この揚げたブロッコリー、驚きの甘さ。しかも、香りが変わります。お茶の香りがし、口の中に杏仁の味わいが残ります。
合わせたオイルは4番。
オイルを掛けると、更にまろやかに。

やぶきたやきぶたの付け合わせに、ぴったり。
ブルスケッタにも、ラザーニアのソースにも良さそうな、美味しいペーストでした。

ドルチェ:やぶきた粉茶のパウンドケーキ(真島)

やぶきた茶の香りと味を楽しんで頂く、素朴なパウンドケーキ。
もちろん使う油脂はオリーブオイルのみ。バターと違い、仕上がりが非常に軽やかです。甘さも控え目。
ホイップクリームを添えて。


家庭用の火力と火口の少なさにもかかわらず、レベルの高い料理を提供下さった、堤シェフと井上シェフ。
ダブルシェフの美味&たっぷり料理に、皆さま、大満足。
終始、笑顔や歓声が絶えませんでした。

アンケートに「そんな人気店のシェフだったんですね。人気の理由が分かります」と、書いて下さった方が。

確かに東京ではとても人気店。
でも、それを知らない人であっても、こうして虜にしてしまう彼らの料理と人柄。

セミナー終了後、こうして二人でふざけあっていましたが、真面目な話をすると、堤シェフは今回の料理は4割の出来だったと言います。
こんなに美味しく、全員で美味しく頂いた料理ですが、彼には満足いくものではなかったようです。

それを課題に、また来年もそらまめセミナーを一緒にして下さるとのこと。
楽しみです!
来年は少し違ったスタイルにしたいと考えています。


菊川市の生産者たちと記念写真。

今は、野菜とお茶の生産者ですが、いつの日か菊川のオリーブオイルの生産者と一緒にこうしてセミナーが出来たら。。。

このオリーブの枝は、始まったばかりの菊川市のオリーブ農園の枝です。
前日に訪問した農園で、剪定していた枝を頂いてきました。

菊川のオリーブオイルでセミナーをするのが夢です。
オリーブオイルが搾油できるのは、何年か先の話。実際にそれをセミナーで使えるようになるには、更に先かもしれません。

でも、それまで待っているだけではいけないと思っています。
オリーブオイルが搾油できるまでの数年間を、菊川オリーブオイルを望む人たちみんなで支えなければならないと思っています。

応援団の一員として、オイルが出来るまでのこれからの数年間「オリーブ文化」を一緒に築き、生産者を支えていきたいと思っています。

最後になりましたが、お忙しい三連休にご参加下さった皆さま、ありがとうございました。
応援団としてまたオリーブの場でお目に掛かることを楽しみにしています!

 


ご協力頂いたみなさま
  • ウイングホーム:今回も会場の提供、ありがとうございました。 また、お忙しいスケジュールを調整下さり、譲って下さったこと、誠に感謝致します。
  • mama’s Share Shop Soramame シェアショップ そらまめ:この会場があるお陰でセミナーが開催できています。主宰の倉部氏に感謝致します。
  • 株式会社ソイルパッション:新鮮で美味しい野菜をたっぷりとご提供頂き、ありがとうございました。
  • 株式会社美緑園:香り高いやぶきた茶のご提供、ありがとうございました。
  • 平川ファーム:貴重なトマトのご提供、ありがとうございました。
  • 中野ご夫妻:お二人のお力があって今回も無事に開催出来ました。朝早くから最後までお手伝い下さり、本当にありがとうございました。 また、写真撮影もありがとうございました。