横浜のワインスクール「Le Salonル サロン」にて、オリーブオイルセミナーの講師と、その後のディナーの料理を提供致しました。


このサロンでのオリーブオイルセミナーは4回目です。
今回のテーマは「トスカーナ」
毎年のように訪問しているトスカーナ州の生産者があります。東京イタリアンのシェフたちからもとても人気があるオリーブオイル「Bardi」社です。シエナから更に奥のペトロイオという小さな村にあります。
訪問の度に2~3泊し家庭料理を頂いています。ここで頂いた家庭料理を中心に提供致しました。

先ずはセミナーからです。
ご参加の方々はこのワインスクールの生徒さんです。
今回初めての方も、毎回のようにいらしてくださいる方も。
大型ディスプレイに生産者を訪問した際の農園や搾油所の写真をご覧いただきながら、オリーブオイルを語る上で欠かすことが出来ない事柄をご説明致しました。
健康との関連のお話も欠かせません。一般的な脂肪酸の話、オリーブにしか含まれないオレオカンタール、オレウロペインなどの話。

テイスティングに大切なポイントをご説明した後は、4種のオイルを並べます。

今回使用したオイル
  1. イタリア トスカーナ州シエナ トレクアンダ フラントイオ、モライオーロ、オリヴァストラ・セッジャネーゼ等のブレンド。2018年収穫・搾油。シエナ郊外の日当たりと水捌けに恵まれた丘陵地帯で、毎年バランスの取れた質の高いオイルを作り出す生産者。有機栽培された実を丁寧に、機械+手摘み収穫後、数時間以内に搾油。2018年から自社搾油所を設置し、より質を高めている。濃緑の葉、アーティチョークなどの香り。旨みのような甘みや味わいを感じ、最後に心地良い辛味を感じる。[Bardi]
  2. イタリア シチリア州キアラモンテグルフィ トンダイブレア種単一。2018年収穫・搾油。規模とクオリティで有名な生産者。Riservaは彼らの最も良い畑の実を使った上級ブランド。例年に比べると辛味と苦みはマイルドだが、香り高い品種であるトンダイブレアの特徴である、草やトマトの葉などの香りが持続する。口に含むとバナナのような味わいがし、喉越しにピリリと辛味を感じる。
  3. エキストラバージンオリーブオイルとの表記はあるものの、あるべきグリーンの香りは感じられない。ネガティヴなビネガー臭なども感じられる。
  4. イタリア トスカーナ州 バーニョ ア リーポリ モライオーロ、フラントイオ、 レッチーノ、アメリカーノ種のブレンド。2018年収穫・搾油。畑はオリーブの他、ブドウ、野菜など全て有機栽培。早摘み収穫、収穫後数時間以内に自社にて搾油。30代の若い生産者は搾油機メーカーと共同で研究を続け、より高い品質を目指している。摘んだばかりの茶の香りが漂う。シャープな辛味と苦味を持ち、辛味が持続する。

ワインテイスティングは慣れてらっしゃる皆さまですが、オリーブオイルのテイスティングは全く違います。表現を迷う方も多くいらっしゃいますが、素晴らしい香りがするオリーブオイルに驚いていらっしゃいました。

テイスティング後は、生産者の横顔。
どんな事を考え、どんな風にオイルを作っているのか。それを知って頂くためです。
訪問の際の彼らの食卓や、一緒に過ごした時間の写真を再びディスプレイに映し皆さまも一緒に旅した気分になって頂きます。

前菜:ラディッキオのサラダ

苦味のあるラディッキオに、甘みのあるバルサミコ酢を垂らして、パルミジャーノ・レッジャーノを削ります。

本当に簡単なサラダだからこそ、素材が大切。
これは千葉の房総でイタリア野菜を作っている田倉ファームからの取り寄せです。

オイルは2番のシチリアのオイルを。
ラディッキオに香りはありませんので、2番の香り高いオイルが良く合います。

前菜:チーメ ディ ラーパのブルスケッタ

チーメ ディ ラーパcime di rapa はイタリアの南部~中部各地で食べられている野菜です。
菜の花に似ていますが、ほろ苦さと甘味が格別。
これも田倉ファームからの取り寄せ。

くたくたに煮込んだチーメ ディ ラーパをカリッとトーストした自家製パンに乗せて、オイルをたっぷりと掛けて頂きます。
これには1番のバルディが最適。
野菜の甘みと苦味に、更に深みが出ます。

プリモ(パスタ):バルディ家のボロネーゼソースのメッツェマニケ

バルディ家の定番料理です。
ボロネーゼは色々な店で食べていますが、バルディ家のボロネーゼソースが一番おいしいと思っています。
そのレシピを教えて頂き、忠実に作ったソースです。
あっさりしているのに、滋味深い。野菜と肉の味が優しく、飽きない味です。

野菜を炒める時からバルディのオイルを使っています。
もちろんここにはバルディのオイルを。

セコンド(肉料理):豚のアリスタ バルディ家自生のフィノキエットで

フィノキエットの香りと、豚の甘さと香ばしさ。なんとも言えず美味です。

豚のアリスタはローズマリーを使うのが一般的ですが、トスカーナの山あたりでは野生のフィノキエットの種を入れる家庭も。
バルディ農園に自生しているフィノキエットをローズマリーと共にまぶして焼きます。
途中でじゃがいもを投入して、ローストポテトを。
残念ですが、じゃがいもはイタリア食べるあの甘さにはかないません。

これには当然ながら1番のバルディのオイルを。

(※アリスタの完成写真が撮れず、以前のホームセミナーのアリスタの写真です)

チーズ:4種のチーズ

ワインスクールですので、チーズが必ず付きます。
ワインスクール主宰の渡邊先生がセレクトした、それぞれ違うタイプの4種のチーズ。
これがまた美味。

ワイン:ワイン4種

料理メニューを決めてお伝えすると、渡邊先生がその料理に合いそうなワインをセレクトして下さいます。
手前に写っているブルネッロのマストロ ヤンニを始めとして、クオリティ高いワインばかり。
私の料理に合わせて頂くのが申し訳ないほどでしたが、流石、いずれの料理にもそれぞれのワインがぴったりと合っていました。


今回も素敵な会場で、セミナーも料理もリラックスした雰囲気で進みました。
料理をするとなると余裕が無く、カメラを持つことが出来なくなり、写真が少なくなります。
セミナー後の料理提供、しかも大人数分の提供を遅滞なくできるのは、アシストして下さる方々あってのこと。
ありがとうございました。


オリーブオイルは食事無くしては成り立ちません。
その点、ワインは違います。たとえ食べる物が無くても。ワイン単体を飲み、楽しむことが出来ます。
似て非なるワインとオリーブオイル。
だからこそ、こうしてワインスクールでオリーブオイルのお話が出来、イタリアの家庭料理をご紹介出来る事は本当にありがたいことだと思っています。

ご参加の皆さま、主宰の渡邊先生。
ありがとうございました。


ご協力頂いたみなさま