横浜で、予約が取れないほどの人気店「カンブーザ」で、オリーブオイルセミナーを開催致しました。

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 今回は初の少人数でのスタイル。お食事会形式です。
そして、カンブーザの名ソムリエ多賀氏にもご協力頂きました。
オリーブオイルを活かした料理、これに合うワインをチョイスを予めお願いしたのです。

 

前半はいつも通り、講義とテイスティングです。
オリジナルテキストを使い、オリーブオイルの基礎知識や、真のオリーブオイルとは何か。酸度、オレイン酸、DOP等についてのお話を致しました。
今回のテイスティングは、昨年収穫されたばかりの新オイルも入っています。

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使用したオイルは以下です。
オイル名等の詳細は、ご参加の皆様だけにお渡ししています。

今回使用したオイル
  1. ラツィオ州リエーティ。2011年収穫。DOPサビーナの爽やかなオイル。ローマ帝国の時代からこの地域ではオリーブオイルの生産が盛んでした。搾油後1年以上たっているため、そのシャープな味わいが消え、まろやかになっています。
  2. 1番と同じオイルの2012年収穫。とても同じオイルとは思えないほどシャープな辛みが際立ちます。口に含んだ瞬間から辛みを感じます。
  3. トスカーナ州シエナ。2011年収穫。とても座念な状態です。ボトリングされた頃はもしかしたら美味しかったかもしれません。
  4. トスカーナ州シエナ。2012年収穫。辛み、甘味、香り。すべてがバランス良い素晴らしいオイルです。
  5. ラツィオ州ヴィテルヴォ。今回、唯一の単一品種でした。ハーブのような辛み、苦味が感じられる、かなり個性的なオイルです。

テイスティングが初めての方にとって、油を口に含むということは抵抗があったようです。 でも、セミナーでも強くお伝えしているように、バージンオリーブオイルはオリーブ実から絞ったジュースです。苦手なものは吐き出して頂くことにして、とにかく舌でも感じて頂きます。

cambusa新オイルというものは、時間と共に失われていってしまうポリフェノール類がたっぷりと入っているため、苦味や辛みが強いのが特徴です。それゆえ、テイスティングも実は難しいのです。 緑のオリーブの実の香りが強すぎて、他の香りをなかなかきき分ける事が出来ません。

洲脇シェフもメニューを考えるにあたり、「今回はとても苦労しました」とおっしゃっていました。やはり新オイルは強いのです。ともすれば、繊細な料理の香りや味わいを消してしまうことになります。

その新オイルを活かしたメニューが以下です。


先付:トスカーナ風 豆のズッパ

通常のオリーブオイルセミナーでは、オリーブオイルの風味が感じられるようソフトな味にして頂いています。しかし、今回は強い新オイルです。ローズマリーの風味にもニンニクにも負けず、DOPトゥーシャの辛く強いオイルが主張します。

前菜:イカのアンティパストミスト
  1. アオリイカのクルード、たんぽぽのサラダ
    甘くまったりするイカにタンポポの苦味が効いています。使用オイルは1番。
  2. 子持ちヤリイカのリピエノ、新ゴボウのピクルス
    イカの生臭みを牛蒡のピクルスが消し、すっきりとした味。使用オイルは1番。
  3. ホタルイカのとクスクスのサラダ、13種のスペッツィエ
    このあたりから少しだけ味が強くなります。オイルは2番。
  4. ダルマイカのラグー、菜の花のボリート
    ワタや墨も使ったラグーがほんの少しの苦味のある菜の花に合います。これもオイルは2番。

前菜は、こうして新旧のオイルを楽しむプレートでした。

プリモ(ピッツァ):アイコトマトとモッツァレラ ディ ブファラのピッツァ "レジーナ"

cambusaここカンブーザの特長は、こうしてコース料理の中でピッツァがいただけること。

レジーナと呼ばれる定番ピッツァですが、5番の強い香りと色を纏ったピッツァは格段に美しく、美味しいものでした。

これはなかなか味わえないピッツァです。

プリモ(パスタ):4種の貝と春野菜のトロフィエ サフラン風味

トロフィエはよくジェノヴェーゼソースに使いますが、今回は、春らしいパスタに。
春が旬の貝、プチベールやグリンピースといった早春の野菜が乳化したソースと絡まって美味でした。
使ったオイルは5番なのですが、シェフ曰く、加熱するとまた違った味に変化しそう。
加熱することで辛みも強い香りもマイルドになります。そして仕上げにほんの少し辛みを効かせて。このパスタが、今回のアッビナメント大賞です。

cambusaさて、このパスタに多賀ソムリエが白ワインをチョイスしました。

サン ヴィンチェンツォ 2011   アンセルミ
単体でも美味しいこのワイン、貝や春野菜と相性良くいただきました。

 

セコンド(肉料理):ノワール ド ビゴール豚のアリスタ

赤身肉の豚を美味しく仕上げる為に、固まりのまま焼いています。
使ったオイルは4番。構造がしっかりしているオイルなので、やはりこうした肉に非常に合いました。
他の皿は、オイルが食材と馴染むことで料理の中では主張しませんでしたが、これは別。豚の脂とオイルは混ざりません。
ということで、豚もオイルも両方しっかりと感じられる一皿でした。

cambusa固まりを一旦お披露目する洲脇シェフ。

豚と洲脇シェフにカメラが構えられます。

 

ドルチェ:あまおうのスフォリッア ピスタチオのジェラート添え

これで、お食事会も終了です。
今回は少人数だったこともあり、セミナーというより、お食事会の雰囲気でした。

cambusa初めての試みだった、ワインソムリエさんとのコラボレーション。
オリーブオイルもワインもあると、焦点がぼやけてしまう。。。そんな危惧ももちろんありましたが、せっかく素敵な多賀ソムリエがいらっしゃるのですから、ご協力を仰がないのはもったいないことです。

オリーブオイルは食材の一つです。料理の基礎となる大切な食材です。

それに対してワインは料理を更に美味しいものにするものです。

セミナーの後は、料理をより楽しんで頂きたい。 そう常々私は思っています。

食事、オイル、ワイン。盛りだくさんの内容の充実したランチでした。

定員数が少なかったこともあり、詳細公表前にほぼ満席だった今回。それだけ食に真剣な方々と楽しく美味しい時間が共有できましたこと、感謝いたします。


ご協力頂いたみなさま
  • カンブーザ:今回も素晴らしいお料理、ワイン、サービスを本当にありがとうございました!