中目黒の「Trattria TARTUCA トラットリア タルトゥーカ」にてセミナーを開催致しました。
2度目の開催です。今回も更に多くの方にご参加頂きました。ありがとうございました!
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定員の22席は早くから満席となり、なんとかご要望にお応えしようと27席まで増やしました。

この空間の余裕も、料理だけではないタルトゥーカの魅力のひとつです。


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セミナーは、講義とオリーブオイルテイスティング実技です。

テキストは今回も入門編を使用しましたが、前回に引き続いてのご参加の方が有難いことに多くいらっしゃいました。

初めての方の為に、お伝えしたい大切なことをきっちりお話しつつ、ちょっとしたエピソードを加えたり、部分的に掘り下げる等、2度目の方にご満足頂けるよう工夫しての講義です。

この部分が連続して開催する上での課題です。そしてこれこそが、セミナー内容が更に濃くなる大切な要素だと最近改めて感じています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAテキストの講義の後は、オイルテイスティングです。

今回のオイルは意図したわけではありませんが、北、中部、南とちょうど分散しました。

以下が今回使ったオイルです。

今回使用したオイル
  1. ベネト州。ガルダ湖東側のオイル。穏やかですが香りが良く、藤澤シェフもとても気に入ってらっしゃいました。
  2. シチリア州の薫り高いトンダ・イブレア種。香り、味、バランスが取れています。
  3. ラツィオ州の残念なオイル。多分、搾油されたばかりの頃は非常に美味しかったと思われます。
  4. トスカーナ州のブレンドオイル。収穫からそろそろ一年が経とうとしていますが、いまだに辛みが強く残る個性的なオイルです。

テイスティングが初めての方が半分以上でしたが、オリーブオイルによって香りも味も違うことに驚いていらっしゃいました。
この違いを感じて頂くことが、テイスティングをする一番の目的です。
何度かテイスティングを経験したことがある方でも、テイスティングは難しい、と声が上がります。どんな香りか、味か・・それを言葉で表現するのはとても難しいことです。

テイスティング後は、詳細をまとめたプリントをお配りし、産地、生産者、こだわっている点、品種、特徴、購入可能場所などをご説明します。

今回も1種類残念なオイルを入れました。みなさん即座に何番かお分かりになった様子。
やはり、質の良いオリーブオイルと並べるとその差は歴然ですね。

インターネットのように情報が一人歩きする場では、この残念なオイルの詳細は記事にしないのがLuceVerdeのポリシーです。
参加者の方々にはしっかりとお伝えします。このオイルのどこが残念なのか、なぜそうなったと考えられるか。
残念なオイルを知ること。これは、オリーブオイルを選ぶ上で、非常に大切なことです。これをクリアしないことには、美味しいオリーブオイルを選ぶことはできません。

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さて、お待ちかねのお食事のスタート。セミナーでテイスティングした1番、2番、4番のオイルを使ってのメニューです。

先付:フリッタータとモルタデッラ

先付として、フリッタータとモルタデッラ。

かぼちゃの甘味がやさしいフリッタータには1番のオイルを。隣添えられたモルタデッラの塩気とのバランスも良いです。

前菜:海の幸の盛り合わせ

前菜は海の幸の盛り合わせ。

シェフはそれぞれに違うオイルを使いました。秋刀魚のマリネには1番を、戻り鰹の自家製ブレザオラにはシチリアの2番を。
まさに海の秋ですね。秋刀魚に1番のような柔らかいオイルはどうなのだろう・・・と最初は思いましたが、マリネは秋刀魚だけではありません。香りも味も優しい野菜も入っているのですよね。1番、納得です。
鰹と2番のシチリアのオイルは文句ない組み合わせ。美味でした。シチリア料理に欠かせない塩漬けケッパーが上にかかっているのもポイントです。

周囲に添えられているブラックオリーブのペーストは、なんとお店の前の鉢植えのオリーブの実を収穫して作ったものだそう。
これには、皆さんも喜んでらっしゃいました。やはりこうしたちょっとした「特別感」は、いい気分にさせてくれます。

プリモ(パスタ):キノコのラグーとサルシッチャのフジッリ

これも美味でした。サルシッチャのしっかりした味と歯触りの中に、ポルチーニの歯ごたえ。てっきり生かと思ったらなんとドライポルチーニを戻したものだそうです。
藤澤シェフはもともと野菜の扱いが非常に優れている方。キノコもそうなのですね。

これには2番のオイルを。サルシッチャなので4番でも良さそうではありますが、やはり2番。少しハーブを使っている為、その香りと同じ高さに香る2番がピッタリでした。

セコンド(肉料理):蝦夷鹿のタリアータ サンジョヴーゼソース

メイン。蝦夷鹿のタリアータ サンジョヴーゼソース。

一番印象に残る一品でした。ご参加の方々もそのようで、アンケートやメールでこのお料理のことを書いていらした方が多数。

鹿肉に対して、マイナスイメージを持たれていた方が多かったのです。それを覆す料理だったとのコメントでした。

中には、本場北海道出身の方もいらして、「地元から送られてきた鹿肉が冷凍庫に」なんておっしゃっていた方も。
「こんなに美味しいのなら、道民ももっと鹿肉を食べるのに・・・」とのコメントでした。

さて、これにはもちろん4番のオイル。トスカーナ州の代表品種のブレンドのオイルですが、やはりどのオイルも個性はあります。

このオイルの特徴は、胡椒などのスパイス類の香りがすること。テイスティング時に感じたのは、シナモンの香りや木の皮の香り。

こうしたスパイスの香りのオイルです、鹿肉のタリアータに合わない理由がありません。厨房ですでにオイルは掛かっていますが、「是非、4番を掛けて食べて下さいね」とアナウンスしました。「更に美味しくなった!」と参加者の皆様。

こうして、自分で自分の皿を変化させること。お店では普通は出来ないことですし、とても楽しい事です。これはライブですね。

ドルチェ:木の実のタルトとカキのサラダ

デザートも秋の菓子。木の実のタルトとカキのサラダ。

これとカッフェを頂いて、セミナーは終了です。


初対面ではあっても、同じく食やイタリアン、そしてオリーブオイルに興味がある者同士、皆様会話が弾んでらして予定終了時間を過ぎても話題が尽きることは無いご様子でした。

そして、今回も参加者の皆様にはパリラ・ジャパンから嬉しいプレゼント。
藤澤シェフ自ら、皆様がお帰りの際にバリラのバッグに入ったパスタのお土産を手渡ししてくださいました。パヴッティーネと、今回のプリモに使用した、フジッリです。

台風が心配された一日でしたが、なんとか夕方までお天気も持ち、集まって下さった皆様と楽しい美味しい時間を過ごすことが出来ました。
こんなに多くの方と素晴らしい時間を共有でき、オリーブオイルについて大切な事をお伝えできたこと、今回もとても幸せな時間でした。皆様、本当にありがとうございました!


ご協力頂いたみなさま