パスタがとびきり美味しい、麻布十番の「La Pastaione」でセミナーを開催致しました。
メニューももちろんパスタがたっぷり。3種のパスタです。

LuceVerde

 

今回は席数が12ということもあり、ご案内と同時と言ってよいほどすぐにお席が埋まりました。やはり、パスタが好きな方は多いですね。

そして、私にとって課題の会でもありました。
12名中、既参加者が10名。2回目という方から、もう10回近く来てくださっている方も。そして、残りの2名は初めての方。

 

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セミナーは初めての方に合わせますので、テキストは入門編。

しかし、何度もいらして下さっている方に入門編のお話をするだけでは当然ご満足は頂けません。短い時間の中で、初めて聞いて下さる方に、大切なことをお伝えしつつ、いつもいらして下さる方の為に新しい情報を盛り込みます。

有難いことに、皆さんとても真剣に聞いて下さいます。

 

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お話の後は、テイスティング。
今回も4種類のオイルを用意しました。
 何度もセミナーを受けて下さっている方の、オイルテイスティングはさすがでした。香りや味わいの表現、そしてどんな料理に合わせたいか、などまで発言頂きました。

 

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初めての方も、2番の残念なオイルを正確に表現なさっていました。残念なオイルというのは、「これがそうですよ」と教えられなければ、なかなか分からないものなのですが、やはり漫然と「食」しているのではなく、「食材」にきちんと向き合っている方は分かるのでしょうね。

 

 

今回のオイルラインナップは以下です。3番を除き、セミナー初登場のオイルです。

今回使用したオイル
  1. トレンティーノ・アルト・アディジェ州。品種はフラントイオ、カザリーヴァなど。DOPガルダ・トレンティーノ。イタリアでのオリーブオイル生産の北限と呼ばれる地域です。北に位置はしていますが、ガルダ湖周辺のサブ・地中海性気候と呼ばれる温暖な気候ゆえ、6世紀の頃からオリーブオイルの歴史があります。このオリーブオイルは香りは軽目で、グレープフルーツの皮の香り、若草の香りや青いバナナの香りが穏やかに香ります。味わいはマイルドですが、辛みと苦味も喉に残ります。
  2. 残念なオイル。正確な産地は不明。イタリアが産地としか分かりません。酸化しています。粘土のような臭いとべたつく味わいがします。
  3. シチリア州。トンダ・イブレア種単一のオイルです。非常に香りが高く、辛みもあるタイプです。トマトのヘタや、草を刈った時の青臭い香り、熟していないバナナなどの香りがしっかりとします。DOPキアラ・モンテグルフィ。
  4. トスカーナ州。コレッジョーロ、モライオーロ、レッチーノのブレンド。これぞトスカーナというかなり強い味わいのオイルです。香りはまさに緑のオリーブの香り、味わいもかなり辛く、苦味もあります。

そしてここで、米永シェフの登場です。

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非常に詳細にメニューの説明を頂きました。
オイルと食材を合わせた理由、調理手段の理由、等、全ての料理が緻密に計算されており、それを言葉できっちりと表現して下さったことが素晴らしい。

 

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何名かのシェフとコラボして参りましたが、中でも飛びぬけて研究熱心なシェフです。この2週間、営業時間外の厨房はきっと研究室と化していたことでしょう。

そしてその成果は、料理に。
素晴らしい料理の数々でした。

 

前菜:前菜3種
  1. 真ダコと大麦、トマトのアスピック ホワイトセロリと共に
  2. レッドバートレット、シェーブルブルーのブルスケッタ
  3. フレッシュマッシュルームと野生ルッコラのサラダ

1には3番のオイルが使われています。トマトにとてもよく合うこのオイルですから定番の組み合わせではあるのですが、このアスピック(ゼリー寄せ)はしっかりした味わいの為、3番のシャープな辛みが良く合います。

2にはパンにたっぷりと1番のオイルがしみ込ませてあります。少し癖のあるシェーブル(山羊のチーズ)と、レッドバートレット(洋梨)の甘味、アクセントに乗ったペッパーベリーの辛み、これらを1番のオイルがまとめています。

3には4番のオイル。もともと4番のオイルにはルッコラのような香りを感じます。この強い味同士の辛みをマッシュルームが上手に吸収して、シンプルですが上質なサラダの完成です。

もう前菜の時点から、賞賛の言葉があちこちから上がります。

そして、もうひとつ。今回、ワインもメニューに合わせてセレクトして頂きました。
前菜のように複数の料理の盛り合わせに合わせることはなかなか難しいと思いますが、Taminer Aromaticoトラミネール・アロマティコ 名前の通り、本当にこの香りが良い白ワインがこの前菜にピッタリでした。香りが良いだけでなく、長く余韻が残ることで、しっかりした味わいの前菜に寄り添います。

プリモ(パスタ):色々な貝と白ワイン、コリンキーのラグーソース バヴェッティーネ

貝の出汁がバヴェッティーネに絡み、貝の歯ごたえと旨みを楽しめます。そして、コリンキーというのは、サラダかぼちゃのこと。甘味があり、貝の塩気とちょうどよいバランス。
これには、3番のオイルを。

シェフは「ボンゴレビアンコです。貝から外して細かくしただけ。」とおっしゃいますが、確かに貝とかぼちゃだけですが、なんとも美味で。非常にクリアなお味でした。丁寧に作っているに違いありません。

そして、嬉しいお知らせが!
このパスタが、当分お店の通常メニューに登場します!
オリーブオイルセミナーから生まれたメニュー、是非召し上がりに足を運んでみて下さい。

プリモ(パスタ):ゴボウとパンのフリウリ風ニョッキ 蓮根のすり流し仕立て

この蓮根のすり流し、これだけでも本当に美味しい。冬場、こんなスープを飲みたいものです。

そして、パンのニョッキ。複雑な味わいがありなんとも表現しがたい、初めて頂くお料理でした。
パンのニョッキはフリウリの郷土料理だそうです。北イタリアのフリウリ州のウディネという地で米永シェフは修業なさっています。その郷土料理のアレンジです。
パンだけでは面白くない、とゴボウが入り香り、食感がプラスされました。蓮根のすり流しはシェフの出身地の郷土料理。
正に、米永シェフでないと作り出せなかったメニューです。
合わせたオイルは1番。

これが、今回のアッビナメント大賞です。オリーブオイルの特徴を引き出したという点では、このお料理が一番です。
1番のオイルは、マイルドなタイプではあるのですが、実はえぐみや辛みが隠れています。そこに根菜類を合わせたことにより、隠れていたものが表面に。更に温かい料理ということでも、オイルの香りが引き立ったわけです。

これに合わせたワインもまた素晴らしく。
Valtellina Superiore この料理と頂くと料理もワインも後味の甘味が増し、それぞれの香りも引き立つという、素晴らしい組み合わせでした。

プリモ(パスタ):乾燥ソラ豆と自家製パンチェッタのトマトソース 手打ちパスタ ストロッツァプレーティ

お坊さんの首を絞める。という名前のこのパスタ、噛み切れないほどのコシの強さでした。
そのしっかりしたパスタにはやはりしっかりしたソースが定番です。
このパスタが直前までシェフが悩んだパスタです。
合わせたオイルは4番。トスカーナのオイルを合わせる予定でメニューを考えていたそうですが、オイルが予想以上に強く、勝ちすぎてしまう。そこでトマトを投入したとのこと。
乾燥ソラ豆もパンチェッタも強いながらもまったりする食材ですから、トマトの酸味が入れたことで全体のバランスが取れていました。
上に乗っているのは炒めた蕪の茎。イタリアではチコリなど苦味のある野菜を好んで食べます。
これが箸休めのような役目をしていました。

ドルチェ:オリーブオイル入りホワイトガトーショコラ フレッシュ苺ソース

ガトーショコラは普通バターと生クリームを使いますが、今回はオリーブオイルで。
3番のオリーブオイルをたっぷりと。
このドルチェも評判でした。ダークチョコレートと違い、とても優しい香りと味わいのガトーショコラ。苺のソースの酸味と合わせても美味しく、オイルを少し掛けて辛みと頂いても美味しく。
写真は手を付けてから撮ってしまいました。後日写真の提供を頂き、差し替えます。

以上がお料理です。
イタリア料理通の方でも、召し上がったことが無い料理があるのではないでしょうか。
イタリアの伝統料理をベースに、日本の食材や伝統も取り入れる「器」の広いお料理でした。
私たちも、楽しみながらこの料理を頂きました。


12名という少数精鋭だった今回のセミナー。
この空間も心地よく、とてもリラックスできた、楽しかった、同じテーブルの方たちとの会話がとても楽しかった、と皆様からお言葉を頂きました。
ある方からは、お宅にお邪魔したようだ。とも。
美味しい料理と、美味しいワイン。そして、何よりも温かい方々。本当に良い会でした。

「皆さん、良いお客様ばかりですね~」と、皆様がお帰りになってから、オーナー篠原氏からこんな言葉が。今日、一番嬉しい言葉だったかもしれません。
こうしてご参加下さる方々が支えて下さり、引き上げて下さるからこそセミナーが開催できます。
本当にありがとうございます!

LuceVerde

 

 


ご協力頂いたみなさま
  • La Pastaioneラ・パスタイオーネ:クオリティ高いお料理とワイン、心地よい空間。どうもありがとうございました!
  • Barilla バリラジャパン:バヴェッティーネのご提供、そしてお土産のご提供ありがとうございました。
  • オリオテーカ:美味しいオイルのご協力、ありがとうございました。3番のオイルです。常にクオリティ高いオイルを扱ってらっしゃること、尊敬致します。
  • トラノイ:美味しいオイルのご協力、ありがとうございました。1番のオイルです。