外苑前にあります「Ristorante HONDAリストランテ・ホンダ」にてオリーブオイルセミナー&マリアージュランチを開催致しました。
6年連続ミシュラン一つ星の店での開催とあって平日の昼にも関わらず、早くから満席に。ご都合を付けてご参加して下さった皆様にお礼申し上げます。

HONDA

 

この日の予報は雨。
でしたが、傘をさすこともなく晴れ間も覗き、初夏の暑さも感じた一日でした。

シンプルでエレガントな佇まいのエントランス。
期待が高まります。

 

 

 

 

HONDA

白、グレー、黒の落ち着いた店内。
お席の用意を済ませ、皆様の到着をお待ちする時間、とても好きな時です。

今回は、セミナー、お料理、そしてお料理に合ったワインも楽しむことが出来るという、大変贅沢な会でした。
先ずはセミナーです。

 

HONDA

初めて開催するお店です。セミナー内容もまずは基礎から。オリーブオイルが出来るまでを、どんな点に注意されていればクオリティの高いオイルが出来るのかを交えながらご説明。
脂肪酸やオレイン酸の話。そして、最近特に注目されている、オリーブオイルに含まれる成分の話。
オリーブオイルが健康に良いと言われるのは、オレイン酸だけではありません。

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皆様真剣に聞いて下さっていました。時折、本音や裏話を交えると、大きくうなづいて頂いたり、驚かれたり・・・
私も楽しくおしゃべりさせて頂きました。

 

 

 

今回使用したオイル
  1. ラツィオ州ラティーナ産。イトラーナ種単一。有機栽培と手摘みにこだわっているオイル。通常イトラーナ種は強めの香りや味わいが特徴だが、これはとても柔らかな香りと味わい。
  2. マルケ州アンコーナ産。アスコラーナ種単一。食用として有名なアスコラーナから搾油しているが、もともと含油率が低い為、貴重なオイル。軽い辛みが最初から最後まで持続。
  3. 残念なオイル。保存方法が原因というより、当初より残念な状態だったと推測される。
  4. シチリア州キアラモンテグルフィ産。トンダ・イブレア種を中心としたブレンド。香りが高く、持続。味わいはマイルド。
  5. ウンブリア州ペルージャ産。この土地の品種ドルチェ・アゴージアを含む数種類のブレンド。最初から強めの辛みを感じる。最後はマイルドにフィニッシュ。

そして、お話の時間が終わり、テイスティングです。 今回は5種類用意しました。クオリティが高い4種と、残念なオイル。 それぞれ、かなり個性が違うオイルでした。マイルドだったり、かなり辛みが強かったり。皆様もその違いに驚いてらっしゃいました。

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食をお仕事になさっている方、食べることがお好きな方、ご家庭でいつも食事を作ってらっしゃる方。様々でしたが、初めてテイスティングなさった方も、非常に的確、且つ表現力豊かで脱帽です。 そして、残念なオイル。今回はそこまであからさまな物ではありませんでした。ともすると、ご家庭で普段使ってしまっているようなオイルです。ところが、口に含んだ瞬間に首を傾げたり、顔をゆがめたりなさっている方が多く。

この残念なオイルをラインナップに入れることについて、本多シェフも快諾して下さいました。実はシェフは、従来より「良い物とそうで無い物の違いを分かって頂きたい」とお考えだったのです。 オリーブオイルに限らず、両方が同様に棚に並んでいるのが今の現状です。そこから、私たち消費者が正しく選択出来ればいいですよね。
なんと、シェフ自らテイスティング用のオイルを配って頂きました。

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さて、そんな思いをもってらっしゃる本多シェフが考案した、オリーブオイルにマリアージュするお料理のスタートです。

 

 

先付:サントモールのクレームタンジュ仕立て 自然農法のグリンピースのズッパとともに

山羊のチーズをふわっとさせ、グリンピースのこれもムース状になったものの上に重ねています。
そして、食感を変える豆のままのものと、クルトン。
合わせたオイルは1番。このオイルは、フルーツ香と共に、ナッツの香りや味わいがあります。
山羊のチーズのサラダにくるみを散らすように、ナッツの香りのオイルをたっぷりと掛けてあります。オイルの香りを感じられるよう、低すぎない温度でサーブされます。
これが、非常に素晴らしく!美味しいことは、もちろんなのですが、
グリンピース、チーズ、そして1番のオイル。この3つが揃って初めて完璧になる味です。
説明し難いマリアージュです。
文句なく、今回のマリアージュ大賞・・・いえ、それ以上でした!

前菜:真鯛の昆布〆のカルパッチョ 季節野菜のマリネ 出汁のジュレとシチリアのオイル

鯛は、歯ごたえを残すために、湯引きして皮を残してあります。
しっかりした出汁のジュレに負けないように、2番の薫り高いシチリアのオイルが使われています。このジュレの固さが絶妙でした。固すぎず緩すぎず、食材にゆるっとまとわり包み込むジュレでした。
香草の香りも溢れたこの一品。
味わい、食感、香りを豊かに味わうことが出来た、贅沢な前菜でした。

プリモ(パスタ):アイスランド産仔羊と長茄子のパッケリ

これまた完璧な一品。
羊は煮込まれて旨みが凝縮し、茄子は穏やかに柔らかいのですが、羊を取り込み過ぎることなく爽やかなのです。
そして、このソースをキリッと引き締めるのが、5番のウンブリアの辛いオイル。
テイスティングでは強すぎると、敬遠されていた方もいらっしゃいましたが、こうして使われると欠かすことが出来ないオイルになります。

セコンド(魚料理):愛媛産マハタ ピスタチオの香草パン粉焼き オリープとローリエのソース

この皿には2番のマルケ州のオイルが使われています。
トマトの酸味を和らげる役目でもあるとのこと。
これには手元で更にオイルを掛けて頂きました。あっさりとした白身のお魚に、パン粉がサクッと、そしてオイルの少しの苦味と辛みがアクセントになりました。
苦味と言えば、添えられた野菜の中にアーティチョークが。実は、このオイル、アーティチョークの香りも感じられるのです。

ドルチェ:アメリカンチェリーのフィナンシェ エピスの香り シャンパーニュのグラニテ添え

打ち合わせをした際に、真っ先にドルチェの話になりました。理由は1番のオイル。
「このオイルはバニラに絶対に合うはず」と本多シェフ。その場でさっそくバニラに合わせてみると、オイルの香りが更に引き立ち持続するのです。

そして、これを活かしたドルチェがこれです。見た目も美しく、味わいも豊かです。
これも、1番のオリーブオイルがあって完成した品です。他のオイルでは、この繊細さは出ませんでしたし、動物性の油脂では「掛けて」楽しむことはできません。
オイルにバニラを漬け込んで香りを移し、フィナンシェにたっぷりと掛けて。


そして、これらの料理に合わせたワインを彼ノ矢ソムリエがチョイスして下さいました。
アペリティーヴォとして、Franciacorta Blanc de blanc
アミューズには、Verdicchio di Matelica Mirum2009
前菜には、Etna Bianco Valecerasa2009
プリモには、Bianco di Toscana2007
セコンドには、Chassagne Montrachet2008
ドルチエには、Le Muffe2009
全てのワインを少しづつ頂くことができる、デクスタツィオーネのコースも。

ワインがお好きな方も多く、皆さん楽しみながら堪能していらっしゃいました。
実は私も、主催者でありながらデクスタツィオーネを頂きました。プリモの羊にはてっきり赤と思っていましたが、白。
初夏ですし、重くなりがちな羊の煮込みを昼から頂くには、白、良いですね。

東京ミシュランが始まって以来、ずっと星をキープしていらっしゃるRistoranteHONDA
素晴らしいお店でのセミナーは緊張致しましたが、それ以上に、このセミナーを堪能致しました。

本多シェフの経験に基づいた閃きとセンス、そしてそれをお皿に上に実現するスキルを拝見する機会に恵まれ、良い勉強になりました。
オイルとのマリアージュ料理に主役に置いた、彼ノ矢ソムリエのワインのセレクト。普段と変わらないさりげなく温かいサービスも素敵でした。
お二人とご一緒でき、とても光栄です。
HONDA

さて、ここRistoranteHONDAでのオリーブオイルのお食事会、また開催する予定です。
その際は、是非この贅沢な時間に身を委ねにいらして下さいませ。

最後にもう一度、ご参加下さった皆様に心から感謝致します。ありがとうございました!


ご協力頂いたみなさま