今年2月のオープン直後から大人気となった、学芸大学の「オステリアバル リ・カーリカ」でオリーブオイルセミナーを開催致しました。ご参加下さった皆様、ありがとうございました!
今回はLuceVerdeセミナーを既に受講して下さった方を対象にした上級編でした。一つのテーブルを囲んでディスカッションできるよう、12名の少人数制で募集しましたが、さすがに人気店です。当初の定員を増やしての開催となりました。
オーナーシェフの堤氏は、このLuceVerdeのレストランセミナーを確立して下さった方です。
レストランでシェフとコラボしたのは、堤シェフが初めてでした。過去のセミナーレポート記事に何度も登場しています「トゥセイグランデ」です。
ここで堤シェフにオリーブオイルを活かした美味しいお料理を提供頂いたからこそ、ご参加の皆様に満足頂き、セミナーの成功、そして次のセミナーへと繋げることが出来ました。
堤シェフが持つ、オイルと食材の合わせ方の感性は、それはそれは素晴らしいものです。オイルの魅力を前面に引き出すお料理、そうそう食べられるものではありません。
そんな堤シェフとの久し振りのコラボ、とても楽しみにしていました!
と、同時に課題でもありました。
レストランとは違う、バールでの開催です。従来のレストランセミナーとは違ったスタイルにする必要がありますし、私自身、いつもの決まった形のセミナーではなくそろそろ新しいことにチャレンジしなくてはと思っていました。
せっかく何度もコラボして気心が知れている堤シェフとですから、チャレンジにはとても良いチャンスです。
堤シェフにとっても、「攻め」の料理だったとセミナー後おっしゃってました。それはお料理のご紹介の所で。
セミナーはお話からではなく、テイスティングからスタートです。
まず新しい試み。
香りのサンプルを生の食材で用意すること。
数年前から狭い区画ですが、農園を借りています。そこから朝採ってきた野菜やハーブ類を皆様の前に並べました。
その他にスパイス類、果物など、購入したものも含めトータル20種類以上。これだけ実物の香りサンプル、しかも菜園からのものは、葉や茎、根、ヘタなどが付いたままの物は、なかなか揃えることは出来ないとちょっぴり自慢の香りサンプルでした。
「バナナの香り」「青いトマト」「トマトのヘタ」などとテイスティングでは表現しますが、では実際にその実物の香りを嗅いだことがあるのでしょうか。大抵はイメージです。
もちろんイメージで良いとは思うのですが、是非本物の香りを皆様に体験して頂きたかったのです。かく言う私も、これだけの実物のサンプルの香りを比較したことはありません。
とても貴重な体験でした。
そんな香りサンプルと比べながらオイルテイスティングです。今回は1~5番をまず並べました。
今回使用したオイル- イタリア ロンバルディア州。DOPガルダブレシャーノ。有機栽培のカザリーヴァ種中心のブレンド。素晴らしいバランスのオイルです。爽やかで穏やかな香り、味わいは少しの辛みと、甘味を感じるようなまろやかさです。
- イタリア シチリア州。DOPキアラモンテグルフィ。トンダイブレア種中心のブレンド。香りは高く、熟していない果物や青々した草の香り。早摘みのシャープな辛みがアクセントです。
- スペイン。DOPなのですが、残念なオイルです。
- イタリア シチリア州。2番と同じエリアで生産されているオイル。トンダイブレア種100%。これも本来は香りが良く、青い果物や草の香りがし、心地よい辛みが少しだけあるはずなのですが、これは香りも穏やかで味わいもマイルド。実は開封後2か月以上経ったもの。
- イタリア ウンブリア州。3種のブレンド。青い草のシャープな香り。味わいは最初は穏やかですが、だんだん辛みが増し、持続するというユニークなオイル。
- テイスティング終了後に追加でお出ししたオイル。イタリア カラブリア州。有機栽培の3品種と、有機栽培のレモンを同時搾油しているレモンフレーバーオイル。基のオイルのクオリティも高く、レモンの香り芳しく、素晴らしいオイルです。
もう何度もテイスティングを経験なさっている方から、まずは活発にご意見が出ます。
香りの具体例、味わった時の味。香りと味の印象の違いなど、私も感じていたことを、的確に表現なさっています。
もちろんテイスティングが2度目、という方もいらっしゃいました。でもしっかり残念オイルを判別し、オイルの感想も臆することなく発言なさる様子にとても嬉しく思いました。
テイスティング終了後、5本のオイルをテーブルに置き、皆様で番号順に並べて頂きました。
これも新しい試み。上級者ならではの試みです。
全問正解とまでは行きませんでしたが、私の少ないヒントを元に、かなりの確率で正しく判別して頂きました。これは、また次回の機会にも是非やってみたいと思います。
そして、各オイルのご説明。産地、品種、オイルの特徴。購入場所と価格も。
オリーブオイルは是非ご家庭で使って頂きたいと思っていますので、セミナーではどなたでも手に入れられるオイルを出来るだけ使用するようにしています。
この後、もう一種オイルテイスティングして頂きました。6番のオイルです。
現在、フレーバーオイルが非常に人気です。オイルだけでなく「香り」の商品が人気ですね。
でも、この6番のオイルに出会うまで、フレーバーオイルにあまりいい印象を持っていませんでした。エクストラバージンに精油を加える製法であろうが、オリーブの実とレモン等の果実を同時に圧搾・搾油する方法であろうが同じでした。
基のオイルに納得がいかなかったのです。柑橘系の香りの下に、欠陥臭がするオイルばかりでした。欠陥臭がしないと思えば、基のオイルが精製オイルだったり。
この6番のオイルは基のオイルもしっかりとエクストラバージンですし、レモンの香りも素晴らしいものです。
皆様も一様に香りの高さに驚いていらっしゃいました。
さて。お待ちかねのお食事です。先ずは乾杯から。
セミナーですでに知り合いになっている方、または初対面の方、お仕事も性別も年齢も様々ですが、皆さん美味しい物が好きという共通点で
和気あいあいとお食事が進みました。
今回、新しい試みにチャレンジできたのは、何度もセミナーにご参加下さっている方がいらっしゃるからこそです。今回は上級者の皆様なので、高度な質問を覚悟していました。
でも、もし私が答えられなくても、どなたかその分野で詳しい方がいるはずです。皆様の助けを借りながらの会にしようとしていました。こんなことができるのも、上級セミナーならではです。
皆様のおかげで、新しいことにチャレンジできます。本当にありがとうございます!
そして一つのテーブルで、美味しいオイルと、美味しい物を囲み会話が広がってゆきました。初対面同士のご参加者と一緒にこうして写真も。
オープン直後からあまりの繁盛に、セミナー開催の約束は叶わないものと諦めていた、ここ「リ・カーリカ」でのセミナー。開催出来ましたことに、堤シェフとお店のスタッフの方々に心から感謝致します。
オイルを単に掛けるだけではなく、「組み込んで」完成する料理。こうしたお料理を食べられる機会はそうそうありません。
しかも、今回は分かりやすいお料理ではなく、一ひねりあったお料理でした。深く捉えて楽しむこともできるし、単に「美味しい!」と楽しむこともできる。
こんな素晴らしいお料理を提供下さった堤シェフに感謝と称賛を。
私が新しい試みにチャレンジできたのは、信頼する堤シェフとのコラボだからこそ。
本当にありがとうございました!
ご協力頂いたみなさま
- オステリアバル リ.カーリカ:美味しいお料理をありがとうございました。セミナーの為に営業時間を拡大して下さったことに感謝いたします。
- ヴェラ@イタリア:美味しいオイルのご提供、ありがとうございました。6番のオイルです。
- Barilla バリラジャパン:スパゲッティ、そしてお土産のご提供、ありがとうございました。