「ヴィア・パルテノペ 品川店」にて、オリーブオイルセミナー&ランチを開催致しました。
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オフィス街の商業施設にあるこの店は、平日は行列をなす人気店ですが、土曜日はゆったりとした雰囲気です。

広い窓からは光が差し込み、中庭の緑を見ながらの休日の昼に相応しいセミナーとなりました。

 

 

 



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ご参加者は初参加の方が大半でした。いつものように座学から始めました。

油の基礎知識を踏まえた上でのオリーブオイルの特徴、質の高いオイルとはどう作られ、どう管理されるべきなのか、また最近流行っているココナッツオイルについてなどもお話しました。

せっかくお時間を作ってご参加下さった皆様に、お伝えしたい事が沢山あり、時間内に収める為に何を削るか毎回悩んでいますが、後のアンケートで、「有益な情報を色々知りました」や、「実践に役立つ知識を得られました」と、感想を頂戴し、これからも悩みつつ内容を充実させていこうと改めて思った次第です。

今回は、お席にお料理のプロもいらした為、いつもとまた違ったご質問が。私も勉強になりました。



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講義の後は、テイスティング。4種です。

 

今回使用したオイル
  1. イタリア アブルッツォ州キエーティ。土着品種のブレンド。様々な植物の香りが穏やかに感じられる。味わいも穏やかだが、辛味を少し感じる。
  2. イタリア シチリア州トラーパニ。土着品種をブレンドしたDOPヴァッリ・トラパネージ。心地良い香りがし、口に含むと辛味をすぐに感じるが、後味はマイルド。
  3. エクストラバージンオイルの表記であるが、香りも味わいも良い所はみられない。
  4. イタリア ウンブリア州ペルージャ。中部イタリアの品種のブレンド。クリアな味わいだが、苦味と辛味がバランス良くある。

※オイルの評価について
エキストラ・バージン・オリーブオイルは農産物です。その年の気候やオリーブの樹の健康状態によって味は大きく左右されます。また、搾油後の経過時間によっても味わいは変化します。
上記のオイルの評価は、私の主観に加え、以上のような影響があることを加味した上で、ご参考下さい。


テイスティング後は感想をお聞きするのですが、既にご参加頂いている方は流石のコメントを。
初めての方は、普段よく見かけるオリーブオイルと今回のクオリティ高いオイルとの香りと味わいの差に驚いていらっしゃいました。
やはり、オリーブオイルを知っているようで、こうして比べてみない事には気づかないことが沢山あるのだと思います。

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テイスティング後に最もお好きなオイルをお聞きするのですが、この時のお答えと、実際にお料理を召し上がった後と違ってくるのも毎回の出来事です。
やはり、オリーブオイルは飲むものではなく、料理に使ってこそのものです。

さて。お料理です。
こんなに素敵なメニューをお店が作って下さいました。

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前菜:前菜盛り合わせ
  1. パルマ産生ハム
  2. 天然酵母のグリッシーニ
  3. ティエッラ
  4. イカと白いんげん豆のサラダ
  5. カプレーゼ

ティエッラはムール貝とじゃがいもの重ね焼き。ムール貝の出汁がしみこんだじゃがいもには、1番のオイルがぴったりでした。

イカが香ばしく焼かれた香りと味が、やわらかいいんげん豆に移り、これも非常に美味。掛けられたカラスミが良いアクセントになり、2番のシチリアのオイルと相性抜群です。

カプレーゼにも2番。トマトと相性の良いオイルです。

グリッシーニは天然酵母の生地から。ほんのりチーズのような香ばしい香りがしましたが、これは天然酵母の香りだそうです。

プリモ(ピッツァ):ピッツァ・パルテノペ

写真をよく見ると、いつも見るピッツァと違うことが分かると思います。
オリーブオイルが掛けられていないのです。
もちろん、それぞれ手元で掛けて頂きます。
先の滋味深い生地に、シンプルにモッツァレラ・ブーファラとトマト。
2番が王道の合わせ方です。トマトとも合い、キリッと味が引き立ちます。4番でも美味でした。4番を掛けるとチーズにフォーカスします。

プリモ(パスタ):2種のパスタ
  1. マグロの頬肉のスパッカテッレ
  2. トラパニ風スパゲッティ

スパッカテッレには、文句なく2番。掛けた途端に味わいが更に生き生きとします。
辛味苦味がアクセントになり、オイルの爽やかなグリーンの香りが魚の血合い部分を包みます。

トラパニ風は、ペスト・トラパネーゼ。
シチリアの名産のアーモンド、にんにく。そしてバジルとトマトをペーストにしたものです。
このお味、私がよく出掛けるトラーパニの、友人のマンマの味そのままでした!
これには、なんと4番のオイルが合いました。4番の最初のスパイシーさとその後のナッツのようなまろやかさがこのパスタにピッタリでした。
同じ土地の料理に同じ土地のオイルを合わせるのが最も美味しい、というものでは無いのだ、と改めて感じます。
このような機会があってこそ、分かることですが。

セコンド(肉料理):仔羊肉の肩ロース 香草風味 ポテト添え

今回のアッビナメント大賞がこれ。

オリーブオイルの香りにフォーカスして頂く為、セミナーでは強いハーブ類をあまり使わないお料理を出して頂くことが多いのですが、これはしっかりとハーブもにんにくも効いています。

当初より4番のオイルの為に考えて頂いた料理なのですが、ハーブの香りがかなり強く、オイルが負けてしまうのではと懸念致しましたが、これが全く逆の効果を。
オイルの最初のスパイシーさが消えた後は、ハーブを包み馴染み、そのハーブの香りを更に引き立てるのです。
もちろん料理自体、そのままではなく、オイルを掛けて丁度良い食感です。噛むごとにオイルが良い役目をしているのを感じます。

ドルチェ:ナポリ伝統菓子の盛り合わせ

トルタカプレーゼ、ババ、ジェラートの盛り合わせです。
ここで、パルテノペの渡辺総料理長から、何故カプレーゼと呼ばれるのか、ババと呼ばれるようになった所以、などのご説明を頂きました。
とても面白いお話でした。こうして背景が分かると、お料理は更に楽しく頂けますね。


今回のお料理はヴィア・パルテノペ品川店の田中シェフが考えて下さいました。あまり、いえ、ほとんど外に出ない方で、こうして外で説明下さることはレアだそうです。

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パルテノペはナポリ地方を中心とした伝統料理を供するお店です。ですから、今回のセミナーは、田中シェフにとっても普段と違う料理を考える楽しい機会だったとのこと。でも、とても難しかったそうです。
確かに、普段のお料理とは違いました。エリアに囚われないお料理でした。

でも、変わらないのは華美に走らず、堅実にしっかりと美味しいこと。何かの味が突出することなく、バランス良い。
そんなお料理を今回のセミナーでも提供頂きました。
ご参加の皆様全員から、「オイルを掛けながらどれが合うのか考えるのがとても楽しかった」と感想を頂きましたが、それが出来るお料理だったと思います。
ありがとうございました。

イベントを良く開催してらっしゃるお店です。サービスもとてもスムーズ。
ご参加の方の中にはお店の常連の方もいらしたので、サービスの方たちとのコミュニケーションも楽しく、終始賑やかなお食事タイムでした。

最後になりましたが、貴重な秋の休日にお越しくださった皆様にお礼申し上げます。
このセミナーがほんの少しでも皆様の食生活のお役に立てましたら幸いです。
本当にありがとうございました。


ご協力頂いたみなさま