外苑前の「Ristorante HONDAリストランテ ホンダ」にて、2回目のセミナーを致しました。
ミシュラン☆を7年連続獲得したこの店での第1回目も大好評。当然ながら2回目もあっと言う間に満席です。

HONDA

今回は、最近メディアにも取り上げられるようになりました、新オイル「ノヴェッロ」を使ったセミナーです。

初めてご参加の方、何度もご参加下さっている方々、混ざってのセミナーは、基礎をお伝えしながら、この秋のイタリア旅行で訪ねた農園、搾油所、そして関わっている人々のことを、見て、聞いて、触れあった感想を交えながらお話致しました。

 

 



HONDA

 

プロのシェフや食に携わっている方も含めて、ご参加の24名様がしんとなさっていることに、少々不安も感じましたが、後に皆様とお話して、真剣に聞いて下さっていたことが分かり安心致しました。



オリーブオイルが生鮮食品であること、そして質の良いオリーブオイルは作り手がいかに大切であるか、これを皆様に分かって頂けたと思っております。

 

 

HONDA

 

さて、テイスティングです。
今回はもちろん新オイル。しかも合計6種類です。
この点には少々悩みました。6種類を一度にテイスティングするのは、私たちソムリエでも難しいことです。初めての方はテイスティングは4種以内が妥当です。

 

そこに6種類はどうかと思いましたが、今回、本多シェフは料理になんと5種類を使い分けて下さっています。せっかくの機会ですから、オイルそのままの味わいと料理に出会ったときの味わいを是非、皆様に楽しんで頂きたいと思ったのです。

今回は皆様に甘えてしまうことにしました。
テイスティング経験者は6種、そうでない方は出来るところまで。ご自身に合わせて頂くことにしました。初めての方は、オリーブオイルに違いがあること、残念なオイルがあることを分かって頂ければ良いと思っています。

今回使用したオイル
  1. ラツィオ州 イトラーナ単一。通常、イトラーナ種のオイルは辛みがあるものが多いのですが、これは新オイルにも関わらずとてもマイルド。実は第1回目のセミナーでも使用致しました。
  2. トスカーナ州 フラントイオ、モライオーロ、レッチーノのブレンド。尊敬する生産者のオイルです。味わいのバランスが見事です。
  3. 残念なオイル フルーツが傷みかけた時のような匂いがします。知らないとそれを「フルーティな香り」と勘違いしてしまうことも。
  4. トスカーナ州 コレッジョーロ単一。早摘みした実から絞った強さと、奥行ある味わいがあります。
  5. シチリア州 ノチェッラーラエトネア単一。緑茶を蒸したような独特な香り、マイルドなタイプ。
  6. ウンブリア州 フラントイオ、レッチーノ、モライオーロのブレンド。口に入れた瞬間から辛みを感じる強いタイプです。心地よい刺激が後々まで残ります。

何度もセミナーにご参加頂いている方には、6種類のオイルテイスティングがとても好評でした。さすがですね。
ただ慣れていない方からは、最後になると良く分からなくなってしまった。というご意見が。もっともだと思います。

さて、これらのオイルを使った料理のスタートです。
今回のメニューは、私も当日まで知りませんでした。それほどぎりぎりまで本多シェフ始め、厨房のシェフたちが悩んでらしたのです。

新オイルの強さに合わせることが難しい点と、もう一つ、新オイルは刻々と変化していく点。2週間前に考えていた素材が、今日はもう合わない。そんな事も多々あったかと思います。

先付:加賀金時の焼き芋仕立て

上には金箔、ほんの少しだけトリュフが掛かっています。
「手で召し上がって下さい」と本多シェフ。
ふわふわをそっと手でつまみます。一口食べると甘味が広がります。そしてトリュフの香りと味わいがアクセントです。オイルも掛けてみました。合わせるのならば1番のオイル。更に味わいが広がりました。
加賀と言えば金箔ですね。そんな洒落も素敵なStuzzichinoストゥツィキーノ(先付)でした。

前菜:玄界灘産 鰆の瞬間燻製 春野菜とグリンピースのムースとともに

冷たい前菜は、なんとグラスに蓋をされてサーブされました。グラスの中には煙が。
これまた楽しい趣向です。

HONDA

もちろん趣向だけではありません。
煙も強すぎるものではなく、その香りと共にカルパッチョを食べる感覚です。ムースと野菜、鰆を2番のオイルがまとめます。
バランスの良い2番のオイルにピッタリの役目です。

前菜:能登 源助大根と黒大根のコンポシジィオーネ パンチェッタと黒トリュフの香り

温かい前菜。美味でした!
同じように米と一緒に茹でているとの事でしたが、それぞれの大根の食感と味わいが異なります。しっとりと、ほっくり。散らされたパンチェッタがカリッとし、トリュフが奥行きを与える。
それらに1番のマイルドのオイルを掛け、全てを混ぜ合わせて頂く。
素晴らしいコンポシジィオーネ組み合わせに、皆様も感動ひとしきりでした。
大根の少しの辛みを考え、トスカーナのオイルをぶつけるのではなく、マイルドな1番を合わせることにより、より深みが。
今回のアッビナメント大賞その1です。

プリモ(パスタ):三重産 ハマグリと野セリ フキノトウを練り込んだタリオリーニ

これも大評判の一品でした。
まるで蕎麦を頂いているような感覚。蕗の薹の香りが入り込んだタリオリーニに、野セリの辛み、蛤の甘味、そして蕗の薹のふりかけの苦味。大人のタリオリーニです。
これに合わせたのは5番のオイル。

HONDA


このオイル、テイスティング時に蒸した緑茶の香りがしましたが、これはともするとネガティブ要素に捉えられてしまいます。
が、しかしこのアクのある香りが春の山草に負けず、それでいて柔らかい味わいが全てをまとめています。
今回のアッビナメント大賞その2です。

合わせたワインはVulcaia Fume’2010
これも素晴らしい組み合わせです。苦味と辛みあるパスタのあとにこのワインを含むと、ワインの穏やかな甘味が更に深くなり、またパスタが進む。堪能致しました。

セコンド(肉料理):カナダ産猪豚のロースト 新玉葱と芽キャベツの軽い煮込み添え

香りも味わいも限りなく豚に近いのですが、やはり肉質はみっしりとしています。
骨をグリルして出汁をとったとの事でしたが、添えられた液状や泡状のソース、これと一緒に頂くと更に味わいが広がります。

オイルは豚料理が有名なウンブリアのオイル。6番。
このオイルの持続性ある辛みは、猪豚のしっかりした肉質を噛んでいる間も感じられます。
しかも、新オイルだけあり、香りも持続するのです。お料理もオイルも共にしっかりと楽しめる一品でした。

ドルチェ:ジャンドゥイアのボネ 苺とヨーグルトのソルベ添え

下に敷かれているオイルは4番。
質の高いオリーブオイルは、チョコレートとも苺とも相性が良いのです。辛みと奥行があるこのオイルならば、チョコレートの強さにも負けませんし、苺とヨーグルトの爽やかさとチョコレートの繋ぎの役目もします。

合わせたワインはMarolo Chinato チョコレートとの相性、抜群でした。


今回、ワインのデグスタツィオーネコースをソムリエの彼ノ矢氏が設定してくださいました。
料理に合うワインを頂きながらの食事、楽しいものです。

HONDA
そして、それだけでは足りないお客様の為に、食後酒の説明をする彼ノ矢ソムリエ。
穏やかで明るい接客に、盛り上がりました。



HONDAこちらは料理の説明を一皿ごとにして下った本多シェフ。本当に素晴らしい料理の数々。

今回、いつものリストランテホンダとは少々違った趣の料理が出ました。
お店の常連の方はお気づきの様子でした。

人気店であることや、有名ガイドブックから評価されていることなどに奢らず、常に進化を目指していらっしゃるからこそ、この素晴らしいお料理があるのだと、改めて敬服致します。

 

ちょっぴり遊び心もあった今回の料理、私の力は無くとも、オリーブオイルセミナーがこの料理が生まれるきっかけになったことが嬉しくてなりません。

通常のメニューではできない事も、こうした機会に試して下さることも嬉しいことです。

昨夜のシェフのお話ですと、このメニューの中から何品か通常のメニューにオンされるようです。ご興味をお持ちの方は、是非お出かけ下さいませ。


このまま永遠に食べていたい。そう思ったのは私だけではないはずです。

セミナー中に清聴下さった方々も、料理とワインと共に賑やかに同じテーブルの方同士、楽しい輪が広がっておりました。
陽気な笑い声が絶えない、まるでトラットリアにいるようなディナーでした。通常の静かに落ち着いたリストランテ・ホンダとはひと味もふた味も違う雰囲気を楽しみました。

この料理を生み出すために、時間と労力を注ぎ込んで下さった本多シェフ始めスタッフの方々ありがとうございました。

もう一方、フランコ・バルディ氏にお礼を。
今回の2番のオイル。私が尊敬する生産者によるオイルです。この方に会いたくて秋にトスカーナに行って参りました。その時、ありがたいことに絆が出来ました。
今回使いました2番のオイルはフランコ氏が私にクリスマスプレゼントとして航空便で送って下さった物です。このご厚意に感謝し、この会にご参加下さった方々と素晴らしいオイルを共有致しました。ありがとうございました。

改めまして、ご参加下さった皆様、本当にありがとうございました。皆様とこの時間をご一緒出来ましたこと感謝いたします。


ご協力頂いたみなさま
  • RISOTRANTE HONDAリストランテ・ホンダ:見事な料理の数々、ありがとうございました。素晴らしい店での開催の機会をまた得られましたことに心から感謝いたします。
  • AZ. AGR. CARRAIA DI BARDI FRANCO:Sig.Franco,Grazie per il olio eccellente!Spero che stia bene e lo faccia ora in poi...素晴らしいオイルのご提供ありがとうございました。これからも素晴らしいオイルを作り続けて下さい。
  • Rocca di Castagnoli:質の高いオイルのご提供ありがとうございました。日本での発売のお知らせを心待ちにしております。4番のオイルです。