白金台のリストランテ「Biffi Teatro」にて、オリーブオイルセミナーを開催致しました。

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あいにくの雨模様となりましたが、まるでステージのようなキッチンを囲んでの会となりました。
この店に初めていらした方が多かったのですが、この店の中央に設えられたキッチンを見てどなたも歓声を。

 

 

 

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講師の私も、この中に入ってお話しました。ここに入ること、とても緊張致しました。厨房は聖域ですから。

セミナー内容は、基礎をお伝えしつつ、昨年秋から冬にかけて搾油されたオリーブオイルのエピソードなどを交えながら致しました。

 

レストランセミナーでいつも悩むのは時間です。
沢山お伝えしたいことがありますが、それを絞って短時間でお話しなくてはならないこと。そして、初めての方にも10回目の方にも楽しんで頂きたい。
これは、常に課題です。

講義の後はテイスティングです。今回はいつものセミナーと違い、使用するオイルを2種公表しておりました。

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2種とも後藤シェフの修行先のオイルです。

一つはウンブリア州ペルージャのもの。もう一つは、シチリアのラグーザのもの。
修行先の街の名前を聞き、私が気に入っているオイルとすぐにマッチしましたので、今回のオイル選びはとてもすんなりと進みました。

 

ただ、それだけでは何度もご参加下さっている方には物足りないかと思い、ユニークなオイルも選びました。

初めての方は、オイルテイスティングに戸惑いをお持ちでしたが、終わるころには慣れ、ご自宅のオイルはどれに当たるのだろうと考える余裕も。
今回も食のプロの方が数名ご参加下さいましたが、初めてにも関わらず的確且つ豊かな表現力に脱帽です。香りや味の奥行まで感じてらっしゃる方も。
素晴らしいですね。

今回使用したオイル
  1. イタリア ロンバルディア州デセンツァノ ガルダ湖周辺の土着品種カザリーヴァを中心としたブレンド。香りも味わいも非常にマイルドです。
  2. イタリア シチリア州ラグーザ この土地の土着品種トンダイブレア単一。DOPモンテ・イブレイ。香りが高く、辛みもある。単一とは思えない広がりある香りと味わい。
  3. 残念なオイル
  4. イタリア ウンブリア州ペルージャ 中部イタリアの代表品種のブレンド。香りと違いマイルドな口当たりだが、その後は辛みが持続する。
  5. クロアチア ラバック 昔からの代表的な土着品種ブジャ単一。爽やか且つ強い香り。草をちぎったときのようなシャープな香りと共に、花の香りも。

今回は、初めてクロアチアのオイルを入れました。
クロアチアには行ったことが無いばかりか、知識もありませんので、これをセミナーでご説明するのは抵抗がありましたが、やはり質の高いオイルは皆様に紹介したい!と思い、ラインナップに入れた次第です。
今日の中で最も強いタイプのオイルでした。セミナー前にシェフにもテイスティング頂きましたが、質の高さに驚いてらっしゃいました。

さて、ここからはランチがスタートです。1,2,4のオイルを使ったお料理です。シェフには一品づづご説明頂きました。

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先ずは乾杯です。

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ステージのような厨房を囲んだ客席ですからシェフたちの作業が良く見えます。

先ほどテイスティングしたオイルをシェフがどのにように扱うのか、間近で見られる訳ですから、特等席ですね。
臨場感もあってお料理を待つ時間も楽しい時間です。

前菜:新タマネギのパンナコッタとホワイトアスパラガスの冷たいズッパ 自家製ベーコンのジェラート添え

春本番を待つ白の一皿。
最初からですがこれが今回のアッビナメント大賞でした。
白の食材たちの上にゴールドグリーンのオイルがちりばめられた様子は、味わう前から楽しませてくれます。

新タマネギ自体の甘さだけで作られたパンナコッタと、早春のホワイトアスパラガスのスープがそれぞれ美味しく。
ベーコンの香りがするジェラートとパルミジャーノの薄焼きは良いアクセントです。
優しい1番のオイルがこれらの繋ぎ役。

プリモ(パスタ):自家製ブシャーテ 鰯とシチリア産アーモンドのソース

ブジアーテとも呼ぶこのねじれたパスタは、私も大好きなシチリアはトラパニの郷土パスタ。
鰯やフィノッキオ、アーモンド、レーズン、松の実などが加わったソースはまさに、シチリア!
2番のオイルが合わないわけがありません。
鰯の強さにも負けない香りを手元で掛けると更に美味しいパスタでした。

シェフからのお料理説明ではパスタの作り方や、シチリア料理の特徴など、シチリアにいらしたシェフならではお話も。
ご参加の皆さんも真剣に聞き入ってらっしゃいました。

セコンド(肉料理):豚肩ロースのペルージャ風ロースト 色々な豆のインウミド添え

これは王道メニューです。
4番のオイルのテイスティング時に、皆様の感想があったように、「味が長続きする」オイルはこうしたしっかりした肉料理に合わせるのが外れありません。
しっかりとした肉質に辛みが続くオイルが良く合っていました。

ペルージャと言えば、このロースト”ポルケッタ”です。
シェフの説明にはその言葉は出てまいりません。でも、現地ではどんな時にどんな風に食べられているのか、そんな大切で楽しい説明はしっかりしてくださいました。

ドルチェ:黒オリーブとホワイトチョコレートのプロフィットロール

シェフが最初からおっしゃっていたのは、「伝統と遊び心」

メインが伝統ならば、これは遊び心。甘いチョコレートに塩気のある黒オリーブ。お互いの味が引き立っています。
合わせたオイルは1番。これまた納得です。チョコレートと合うオイルです。


イタリアのウンブリアとシチリアで経験した料理と文化。
それをベースに、後藤シェフならではのエッセンス=遊び心をプラスしたお料理でした。
オリーブオイルに向き合い、掘り下げ、伝統と新しさを何度も行き来して悩んだご様子でした。


素晴らしいシェフの類にもれず、とても謙虚でいらっしゃる後藤シェフ。

「オイルについて深く考える機会を与えて頂いた」とおっしゃって下さいましたが、もちろんこのセミナーが開催できましたのも、ご参加下さった皆様のお陰です。
本当にありがとうございました。

そして、スムーズにセミナーとランチが進みましたのは、お店のスタッフの方々のお力です。
心から感謝申し上げます。

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ご協力頂いたみなさま
  • Biffi Teatro ビッフィ・テアトロ:素敵なお店で開催できましたこと、感謝しております。美味しいお料理と、初回にも関わらずスムーズな進行、ありがとうございました。
  • 川島真子さん:素敵な写真をありがとうございました。
  • さがえりかさん:素敵な写真をありがとうございました。