横浜の「CAMBUSAカンブーザ」にてオリーブオイルセミナーを開催致しました。
なかなか予約も取れないほどの人気店。今まで2回セミナー開催をしておりますが何れも大好評。今回もお忙しい中を頼み込んでの開催です。
cambusa

今回のセミナーは中級編。
入門編では基礎的な知識や概念などをお話します。中級編はそれを踏まえ、より具体的なお話です。実際のボトルのラベルを例に取り、表示してあるべきこと、表示してならないこと、また、どこに着目すれば美味しいオイルを購入できる確率が高いか。
品種のことや有機栽培のこと、料理への合わせ方などもお話致します。

ご参加下さったのは私が出張セミナー&料理レッスンをしているグループの方々を中心に10名。セミナーというより、お食事会のような雰囲気です。

cambusaもう2年になりますので、皆さんオリーブオイルについて知識は豊富です。特にテイスティング力が非常に高い方々。

cambusa

やはり、素晴らしいテイスティング力です。
6種類のうち、分かりやすい2種は別にして、4種をどれなのか当てて頂きました。
イタリア語を読める方はいらっしゃいません。出したヒントは産地のみ。

全問正解です!
これにはお店のスタッフの方たちも驚いていました。

さて、使用したオイルは以下です。
今回は皆さんにとって初めてのオイルを揃えました。且つ、オリーブオイル上級者ならではのオイルも加えました。

今回使用したオイル
  1. イタリア ロンバルディア州デセンツァーノ この土地の品種カザリーヴァを中心としたブレンド。2012年収穫。DOPガルダ・ブレシャーノ。穏やかだが爽やかさも持つ香り、味わいはまろやかでほんの少し辛みを感じる。
  2. イタリア シチリア州トラーパニ ノチェッラーラ・デル・ベリーチェ、チェラスオーラなどのブレンド。2013年収穫。青いトマトの香りが爽やかな美味しいオイル。手がかかる有機栽培の農園の木々は非常に美しく、健康的です。
  3. 残念なオイル 
  4. イタリア ウンブリア州ペルージャ フラントイオ、レッチーノ、モライオーロのブレンド。2013年収穫。ノンフィルター。口に入れた瞬間から辛みを感じます。心地よい刺激が続きます。
  5. イタリア カラブリア州コリリアーノ・カラブロ近辺 有機栽培されたオリーブとレモンを同時搾油したレモンの香りのエクストラバージンオイル。
  6. イタリア カラブリア州コリリアーノ・カラブロ近辺 有機栽培されたオリーブとオレンジを同時搾油したレモンの香りのエクストラバージンオイル。

1番と2番のオイルは、2013年秋に農園にお邪魔しています。
何れも素晴らしく美しい農園、そして作り手でした。

1番は出荷に時間を掛けるタイプなので、2013年収穫は間に合いませんでしたが、2番のオイルはその際に生産者のニコラ氏からプレゼントして頂いたもの。それを大切に持ち帰り、この日の為に取っておきました。

5、6番は言ってみればフレーバーオイルですが、私は基本的にフレーバーオイルは使いません。美味しいオイルであれば、フレーバーが要らないことが多いですし、柑橘やハーブの香りを加えるのなら本物を使えばいいことです。
そしてもう一つの理由は、納得できるクオリティのフレーバーオイルになかなかお目に掛かることが出来ないこと。
例えばレモンの香りは良くとも、その後口の中に残るオイルの味が良くかったり、精製してある印象のオイルであることがほとんどです。

その点、この5、6番のオイルは同じ生産者の物ですが、いずれもベースとなるオイルも美味しくこれであれば使ってみたいと思わせるオイルです。
これはセミナー事前の打ち合わせの際、洲脇シェフも同様におっしゃっていたことです。

今回ご参加の方々はしっかりとオリーブオイル基礎をご存じの方々ゆえ、このフレーバーオイルも楽しんで頂きました。

cambusa

さて、次はお料理のメニューです。
佳境を迎えている厨房の洲脇シェフに代わり、多賀ソムリエがメニュー説明をして下さいます。

今回、料理教室の課外授業という意味合いもあり、イタリアンレストランでのメニューの見方や言葉の意味を多賀ソムリエにお願いして説明頂きました。

これを当日の朝お願いしたにも関わらず、さすが博識の多賀ソムリエの説明、何故パスタやリゾットをprimo piattoプリモピアットと呼ぶのか、など、皆さまも、そして私もとても勉強になりました。

さて、お料理のスタートです。

 

先付:ういきょうのクレーマ

先ずは温かいスープです。
掛けたオイルはレモンフレーバー。
ウイキョウとは英語圏ではフェンネル、イタリアでフィノッキオのことです。
株の部分は葉に比べ香りも穏やか。そこに温められたレモンの香りが躍ります。

前菜:八海山サーモンのセミクルード 茹で上げホワイトアスパラガス

43℃で火を入れた、限りなく生に近い繊細な鱒。
火入れの技が素晴らしい洲脇シェフならではのお料理。
これに使われているオイルはもちろん1番。穏やかなガルダ湖畔のこのオイルは、ナッツのような甘味があります。
くるみの香ばしさと甘味、オイルの甘味、鱒の身にほんの少し掛けられた塩、口の中で素晴らしい調和をします。
添えられたホワイトアスパラの絶妙な歯ごたえも、柔らかい鱒の身を引き立てます。

素晴らしい一皿です。この皿の上の食材が全て調和していました。文句なく今回のアッビナメント大賞です。
前菜からもう皆さんお料理の虜です。

プリモ(ピッツァ):自家製サルシッチャと葉にんにくのピッツァ

この店のピッツァは薄めの上品な生地。
が、薄くても、上品でも、生地に力がある為、こうした強い食材をしっかりと受け止めることができます。
これに使われたのは6番のオレンジの香りのオイル。
手元で更に掛けると、オレンジの香りと共に、苦味がプラスされ食材の甘味を引き立てます。

プリモ(パスタ):ピーチ 砂肝とキノコのラグー 黒トリュフと共に

コシのあるピーチはトスカーナなど中部イタリア地方のパスタ。
出汁がしっかり出たキノコのラグーに、コリコリの砂肝。振りかけられたモリーカ・ディ・パーネがアクセントになり、トリュフが香りを添えます。
オイルはもちろん4番のストロングタイプ。
ピーチを食べるとふわりとオイルの緑の香りがします。手元で砂肝にオイルを垂らして食べてみたら、また美味。
いつも賑やかなお料理レッスンのメンバーも無口になるほど。

セコンド(肉料理):ほろほろ鳥のアッロースト 3種のキャベツ添え

これも火加減が素晴らしい。
腿肉と胸肉はそれぞれ違う調理法が取られていました。胸肉は湯せんで火を通したとのこと。
キャベツもそれぞれ。
合わせたオイルは2番。肉だからと言って、4番では強すぎます。爽やかな香りが心地よい2番のオイルが、肉を引き立てますし、噛みごたえもありますので、少しの辛みが持続する2番に合う一皿でした。

ちなみにこれに合わせて頂いたワインは、SALARO’LA
cambusa白のフリージアの華やかな香り、山の木に咲く白い小さな花の素朴な香り。
とても寒い日でしたが、この白い花の香りたちが一足早く春を運んできたようでした。

ドルチェ:カスタニャッチョと塩チョコレートのソルベ

カスタニャッチョとは、栗の粉で作るトスカーナのお菓子。胡桃やローズマリーも入っています。この焼き菓子にも、ヴァローナのチョコレートのソルベにも、オイルを掛けて頂きます。
2番のオイルです。
ソルベがまるでマジックの様でした。このオリーブオイルが出会うと、塩がぐんと前面に出て更に深い味わいに。


この後は思い思いにラテアートをオーダー。
カップチーノが出る度に、歓声があがります。

全員分のカッフェが出たところで、洲脇シェフの登場です。
今日のお料理について、オイルをどう感じ、そこからどう考えこのメニューになったかを語って頂きました。
この美味しい料理を頂いた後ですから、皆さま真剣に、そして満たされた幸福感で満足そうにシェフのお話に聞き入っていました。

cambusa

今回、洲脇シェフがおっしゃったのは、敢えてシンプルに掛けるようにしました。ということ。
テイスティング経験豊富な皆さんなので、揃えたオイルもちょっと癖のある物でした。しかもフレーバーオイルまで。今回は今までで一番悩んだそうです。
オイルから食材を考えることに詰まると、オイルの産地の料理を考えて出発点に戻ったりしたとのこと。
そんなせいか、お料理はご覧の通り、非常にシンプルな物でした。
シンプルだからこそ洲脇シェフのスキルが活き、その技ゆえにオリーブオイルとの組み合わせが、単に「掛けるだけ」でなくなったのです。
オリーブオイルセミナーの為の素晴らしい料理でした。


セミナー後。
いつものように、この絵の下で撮影です。
素晴らしいお料理、スマートでいてフレンドリー、そして何より心のこもったサービス。
心から感謝いたします。

cambusa
この絵は洲脇シェフをイメージして描かれたものなのですが、運気が上がるともっぱらの評判です。私もその運を確かにこの素晴らしいお店とスタッフの方々から頂戴しております。
きっとご参加の皆さまにも良い「気」が伝わったことでしょう。

最後になりましたが、ご参加の皆さま。
ありがとうございました!
楽しい会になりましたこと、心から感謝いたします。これからも、オリーブオイルの世界を一緒に楽しんで参りましょうね!


ご協力頂いたみなさま
  • カンブーザ:今回もまた素晴らしいお料理の数々と、スマート且つ心のこもったサービスを、ありがとうございました。
  • Titone:「オリーブ実が僕に微笑みかけた時が収穫の時」とおっしゃるマエストロ、ニコラ氏が作るオイル。ご提供ありがとうございました。