第二回目となる「Cucina 13 aprile」でのセミナー、今回もランチとディナーの開催でしたが、何れもあっという間に満席、盛況の内に終了致しました。

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大きな通りから少し奥まった場所にあるこの店。

まるで田舎の一軒家のような佇まいです。テラスには、お料理にも使っているハーブを始め様々な鉢植えが並べられています。

 

 

 

tredici今回のセミナーのテーマである、カンパーニア州の名産であるレモンもこの通り。お天気もまるで真夏のようで、気分はすっかり南イタリアの夏です。ご参加の皆さまも口をそろえて、「イタリアにいるようです」と、イタリア気分に浸って頂いた一日でした。

 



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マダムはいつもこうして、アイビーにお客様のお名前を。お料理ももちろんですが、こんな細やかな気配りが人気のお店です。

 

 

 



さて、セミナーです。

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昼の部は、LuceVerdeのセミナーに初参加の方がほとんどでしたので、基本的なことをテキストに沿ってご説明。
皆さんとても熱心で、お食事中も質問が次々と出てきました。

やはり、日常生活でどうオイルを選び、使うか、ここがポイントです。

 

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一方夜の部は、初めての方から、数回、中には10回以上参加下さっている方も。

押さえておきたい基本のポイントをお話しながらも、重ねて来てくださる方にも有益なセミナーであるよう、新しい情報を盛り込み、話すスタイルも変えていきます。

 

 

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昨年撮った、ソレントやアマルフィ海岸の写真を皆さんに見て頂いたりもしました。

これを見て、夏のイタリア旅行の計画を突然立てはじめた方たちもいらっしゃいました。

テイスティングは4種類のオイル。
「アロマテラピーですね!」と、初めてご参加された方は、質の高いオイルの素晴らしい香りに驚いていらっしゃいました。

 

今回のテーマ通り、カンパーニア州のオイルを揃えました。非常に苦労したオイル選考でした。
カンパーニア州のオイルは、日本の市場にそう多くはありません。いくつか心当たりはあったのですが、最もお気に入りのオイルが今年は日本に入って来ていなかったり、その他のオイルも例年に比べかなり味わいが違っていたためです。
候補を何本か揃えて日高シェフともテイスティングし、非常にクオリティ高いオイルを作っているある一人の生産者の3つのタイプのオイルになりました。

今回使用したオイル
  1. イタリア カンパーニア州サレルノ イトラーナ種100% 香りが非常に素晴らしく、味わいはマイルド。ほんの少し辛み。
  2. イタリア カンパーニア州サレルノ ラヴェーチェ種、ロトンデッラ種のブレンド。辛みと苦みのバランスが取れているオイル。
  3. 残念なオイル 昼の部:イタリア プーリア州 品種は不明。発酵が進んでしまった実を使ったと思われる。夜の部:イタリア カンパーニア州 ラヴェーチェ種100%。元々質は高かったと思われるが、搾油から1年半経過し酸化が進んでしまったオイル。
  4. イタリア カンパーニア州サレルノ カルペッレーゼ種100% 辛みや苦み、渋みも感じられる強いタイプ。

ご参加の方もおっしゃっていましたが、一人の生産者が作っていることから、品種だけの違いをクリアに感じることが出来ました。
セミナー使用のオイルは、バリエーション豊かにセレクトすることを心掛けていますので、一人の生産者で揃えることに少々後ろめたさも感じていましたが、結果としてこれが非常に良かったと思っています。

お待ちかねのお料理です。

従来のレストランセミナーでは、私がオイルをセレクトし、お料理アイディアはシェフにお任せしていましたが、今回は日高シェフにこんなご提案を頂きました。

「真島さんがテーマや、オイルに合う料理や食材等も提案下さい。それから一緒に考えて行きましょう。」
宿題ですね。
先ずはテーマを考えました。

5月末ということで、初夏。
夏や海が待ち遠しい季節です。昨年出掛けた、カンパーニア州が思い浮かびました。
同じ南イタリアでもシチリアとは全く違う印象でした。オリーブの木々は緑豊かな下生えに囲まれ、その中から地中海松が美しく伸びている。そして大きなレモンがずっしりとなっている。

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 イメージワードや食材をいくつか日高シェフお伝えしたところ、即座にイメージを分かって頂き、すんなりとお料理の方向性が決まりました。

1番のオイルには美味な野菜たちを。
2番のオイルには魚介を。
3番には肉を。

シェフの説明が始まりました。

tredici話すのは苦手です。とおっしゃる日高シェフですが、やはり一番聞きたいところです。



tredici乾杯をし、お食事がスタートです。
昼も夜のご参加者も、初対面ではあっても同じテーブルになった方々と和気あいあいと楽しんでらっしゃいました。

これもセミナーを開催していて嬉しいことです。

前菜:狼桃トマト、バッテン茄子、水牛のリコッタ、新玉葱のムース

当初合わせた一皿にし、1番の香り豊かなオイルでまとめる予定でした。
が、「1番のオイルが合わない食材もあるでしょうから、それぞれに掛けてみて下さい」と日高シェフ。
トマトは非常に味が濃く、これはオイルは必要ないほどでした。オリーブオイルセミナーですが、そんな選択もあって良いと思います。
茄子には文句なく1番が。生の茄子の少しの苦味が1番のオイルのマイルドさでちょうど良くなります。
水牛のリコッタフレスカはこの時期だけの贅沢なもの。濃厚なこれには、オイルが吸い込まれてしまいます。香りが高い1番を合わせるべきでしょう。

ここで、素晴らしかったのは甘く美味な新玉葱のムースと、4番のアッビナメント。
4番のオイルはそのままテイスティングすると、苦も辛みも強すぎます。ところが、このムースに乗せた途端、隠れていた香りが飛び出し、味わい爽やかなオイルに変身。驚きの変化でした。

プリモ(パスタ):バベッティ 魚介のラグービアンコ ミニトマト添え

もちろんこのまま頂いて美味。
でも、ここに2番を掛けると美味しさが更に引き立ちます。1番でも良いかと思います。
最も相性が良いのは2番です。海の物である魚介と、陸の物であるトマトとパセリ。不思議でしたが、2種のブレンドがそれぞれに効きます。

セコンド(肉料理):放牧牛のラグー ナポレターナ

ワイン等を使わず、トマトで煮込むナポレターナ。
本当にシンプルな煮込みに、上には生のマーシュが、下には茹でた白菜が。
当然ここには4番です。シャープな4番が肉に合い、まったりした煮込みのアクセントになります。
が、2番を掛けるとまた違った味わいに。
これは、夜のご参加の方の発言から導き出されたことですが、肉好きな方は4番ではなく2番を好む傾向が。
ワインを趣味となさっている方が、「2番を掛けると羊肉のような香りがします。」
正にその通りでした。不思議です。いずれかのオリーブの品種の成分が、肉本来の香りを引き出したのでしょうね。

ドルチェ:リモンチェッロのババ レモンのジェラート

レモンの香りのババ。そしてシンプルなジェラート。
カンパーニアのお食事の締めくくりにピッタリな一皿でした。
もちろんそのままで美味ですが、青いバナナの香りがする1番のオイルが良く合いました。

:ワイン

今回マダムがセレクトなさったカンパーニア州のワインです。何れもお料理との相性が良く、普段グラス提供の無い贅沢なワインも。
これにリモンチェッロをプラスした、4種のワインを頂けるコースもありました。ワイン好きな方には嬉しいコースですね。


日高シェフのお料理は、元々が、余分なものを削ぎ落とした食材をダイレクトに味わうお料理です。今回は、オリーブオイルが引き立つようにと、更に引き算して下さったメニューでした。
そのまま食べて楽しみ、オイルを掛けて発見し、楽しみ、何度も味わうことが出来ました。

後に頂いたアンケートでは、複数の方が「オリーブオイルや食材にこれほど集中して食べたのは初めてであり、とても素晴らしい経験だった」とお書きくださっていました。

私にとっても素晴らしい経験と、新しい発見があったお料理でした。

日高シェフ、ありがとうございました。
そして、セミナーの打ち合わせから当日までの細かなやり取りを含め、最初から最後まで支えて下さったマダム感謝いたします。


 

そして、夜の部には素敵なサプライズが。
夜の部にご参加下さっていた声楽家蒲谷昌子氏が、テーマであるカンパーニア州にちなみ、ナポリのカンツォーネを歌って下さったのです。
お食事が始まった頃、「もし宜しかったら歌って頂けませんか」とお声を掛けたところ、快諾して下さいました。

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「ご近所は大丈夫でしょうか」とお気遣いなさる理由が良く分かりました。
素晴らしいオー・ソレ・ミオが、滑らかに、高らかに、この店があるエリア中に響き渡りました。涙ぐむ方まで。本当に素晴らしい歌声と表現力でした。

こんな急なお願いを快く受けて下さった、その大らかなお人柄も素晴らしい。
本当にありがとうございました!

 

 

セミナーを開催する度に、お客様や、シェフはじめお店の方から色々な事を学びます。
学びはもちろんのこと笑顔や温かい気持ちや、本当に色々なことを頂きます。今回は素晴らしい歌まで。

嬉しい言葉も頂きました。回数を重ねて参加下さっている方々から「また進化してますね」と。
特に、セミナーを始めたころから参加してくれている友人からの言葉、今まで一番分かりやすく良かった。と。本当に嬉しい言葉です。
もし進化や成長しているとしたら、それは一重にご参加下さる方々のお陰です。
感謝して止みません。

皆様。ご参加下さいまして、本当にありがとうございました!


ご協力頂いたみなさま