六本木の人気店「トラットリア イル・フィーゴ・インゴルド」にてオリーブオイルセミナー&ランチを開催致しました。

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あいにくの雨模様でしたが、広い店内に多くの方にお集まり頂きました。
LuceVerdeのセミナーは初参加の方が大半を占めました。
が、中には10回以上ご参加下さっている方もいらっしゃいます。
こうして何度も足を運んで下さる方がいるからこそ、常にセミナーの進化を目指すようになります。
本当に有難いことです。

 

 

 



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セミナーは基礎知識をベースに、イタリアや日本でのエピソードを交えて進めます。オイルがどう作られているか、脂肪の基本の話、買うときのヒントなど。
質の高いオイルを生産するための注意点は、私たち消費者にとってもオイルを購入してから使用する時まで気を付けなければならない点と共通します。



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お話の後はテイスティングです。
今回もとても質の高いオイルばかりです。私も大好きなオイルたちです。2度も農園訪問しているオイルも。

1番のオイルを例に取って、香りの確かめかた、味わい方をご説明します。
初めてご参加の方は、オリーブオイルが植物の香りがすることに驚いていらっしゃいました。
新鮮なオリーブの実を使って絞られた質の高いオイルは、とても好ましい香りがします。植物、たとえばフルーツや野菜などの香りです。
料理にそのまま使っていると気が付きにくい、辛みや苦みも感じて頂きました。

使用したオイルは以下です。

今回使用したオイル
  1. イタリア ベネト州メッツァーネ グリニャーノ種中心のブレンド。爽やかな香りを持ち、味わいは穏やかな。今シーズン、とても貴重な質の高いマイルドタイプ。
  2. イタリア シチリア州トラーパニ チェラスオーラ、ビアンコリッラを始め、有機栽培された数種のブレンド。青いトマトや草の香りが高く、心地良い辛みがその香りと共に続く。
  3. 残念なオイル エキストラバージンオイル表記ではあるが、好ましい香りは無く、味わいももたつく。
  4. イタリア トスカーナ州キャンティ コレッジョーロ種単一。ペッパーやハーブのような香り。辛みと苦みのバランスが取れた、強いタイプのオイル。

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テイスティング後、皆さまのお好みを聞いてみました。
1、2、4何れにも沢山手が挙がりました。2番が一番多かったようです。

その後、各オイルのご説明をし、次は畠中シェフからメニュー説明です。

 



畠中シェフは従来からオリーブオイルに対して非常にこだわりをお持ちです。通常営業でも、サラダに使うオイルは3種から各自選ぶことが出来るというスタイル。都内でもこれはなかなかありません。

この畠中シェフがオリーブオイルに更にフォーカスしたら、いったいどんな料理になるのだろうととても楽しみにしておりました。

それが、なんとオリーブオイルを使っていない料理が供されたのです。
もちろん、料理によってはキッチンで最初に使っている場合もありますが、完成したお皿にオイルは全く掛かっておりません。

ご参加の皆様には、それぞれ考えた上でお好きなオイルを掛けて召し上がって頂きたいというシェフの意向です。

でも、もちろんオイルと食材には相性がありますし、どれが一番合うのかやはり知りたいですよね。

召し上がっている最中に、私がお声を掛けます。「何番が合いましたか?」と。
私が考えるベストマッチもお伝えします。
そして、シェフに何番を合わせて欲しいと思ったのかを、最後にお聞きします。
私にとってもチャレンジです。

前菜:前菜盛り合わせ

メジナのカルパッチョ こだわり野菜添え。
ホワイトアスパラ 生ハム添え。
仏産ウサギのテリーヌ。

肉質がしっかりとしたメジナですが、お味は淡白です。1番のオイルの優しさが合います。
絶妙な茹で加減で歯ごたえを楽しめた白アスパラは2番。でも、これは1でも4でも良いかと思います。
香草が時折香るウサギのテリーヌには、スパイスのような辛みを持つ4番。

バランスの良い前菜盛り合わせでした。
今回の3種のオイルはとてもバランスが取れていました。これらに合う食材を熟考して一皿に乗せて頂いたわけですから、バランスが良いのは当然なのかもしれません。

プリモ(パスタ):生ウニのスパゲッティ(Barilla1.7mm)と、丹波黒鶏とそら豆のリゾット

これまた美味しいプリミでした。2種頂けるのも嬉しい限りです。
生ウニのスパゲッティには当然ながら2番。掛けなくても美味しいスパゲッティでしたが、クリーミーな味に2番のオイルが、爽やかな香りと辛みを添えます。

リゾットには、色々な選択肢があります。
鶏に合わせて掛けるのか、そら豆なのか、ソースのトマトなのか。
これには絶対の正解はありません。お好きなもので良いと思います。
シェフのお考えは1番でした。確かに1番は、すべての食材を調和させます。
とにかく美味しいパスタとリゾットでした!

セコンド(肉料理):鹿児島県沖田放牧黒豚のグリルと、宮崎県尾崎牛のタリアータ

贅沢にも肉の食べ比べです。
添えられた野菜も種類ごとに丁寧にグリルされていて、また美味。

放牧されている黒豚という非常に珍しい豚肉は、しっかりと豚の味がします。
ここにシェフは4番のオイルを。辛みの効いたオイルがアクセントになります。
私は2番を掛けるのも好きでした。豚の脂が爽やかになります。

タリアータはシェフは1番のオイルを選択。くせの無い甘い牛肉です。1番の穏やかなオイルで包むのは良いですね。
私は4番をアクセントにしました。

ここまでクオリティの高いオイルが並んでいるのです。何をどれに掛けるか、もちろん合わない組み合わせもいくつか存在しますが、これはもうその方の好みや考え方次第です。

ドルチェ:トロンコと、ミルクのジェラート

ドルチェも、オイルを掛けて召し上がって頂く前提でシェフが考案。
さっぱりとしたミルクのジェラートには、香りの高い2番が合います。

もう一種はチョコレートのロールケーキです。
tronco di Nataleと言って、クリスマスに食べるドルチェが何故この夏に?と思いましたが、一口食べて納得。
中に入ったグリーンペッパーがピリッと効いています。このまま食べても美味なのですが、4番のオイルを掛けると不思議!
香りと味わいがぐっと深まり、益々美味しくなります。この劇的な変化、これには皆様もずいぶん驚いていらっしゃいました。
4番のオイルテイスティングの際、「胡椒のような香りがしますね」とお話しましたが、まさにこのペッパーです。
今回、最も素晴らしいアッビナメントは、なんとドルチェでした。

 


畠中シェフとオイル打ち合わせをした際、彼はほとんどしゃべりませんでした。
香りを確かめ、口に含み、そのまま意識をどこかに飛ばしてしまっているようでした。とても静かでした。
「良いですね」「面白いですね」と抽象的な言葉をぽつりぽつりと発するのみで、具体的な香りの表現も無ければ、食材などの名前は一切出ませんでした。
メニューに関してもほとんど相談も無く、考える方向性すら教えて頂けませんでした。
オイルに対して理解が深いシェフということを知っていなければ、不安になるところでした。

メニューを教えて頂いたのは直前。
拝見して納得し、当日実際にお料理を頂き、感動しました。
私が考えてるこれらのオイルの使い方そのものでした。
そして、お客様ご自身で選択できるようにして下さったこと。
更に、この料理にはこのオイルでなくては!という組み合わせをいくつも作って下さったこと。
敬服致しました。

シェフに私が質問しながらお話を伺うスタイルにした事で、人前で話す事が苦手、とおっしゃるシェフから、考えていらしたことを聞き出せたかと思っています。

とても深い、畠中シェフの料理や素材に対するお考え、また次の機会にも是非、お皿の上とお話で披露して頂きたいと思っています。

最後になりましたが、貴重な休日に足をお運び下さった皆様に、心から感謝致します。
そして、今回のこの料理とオイルのアッビナメントを考え楽しむ場を、皆様と共有できたことをとても嬉しく思っています。
楽しく、とても良い会になりました。皆様のお陰です。
どうもありがとうございました!

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ご協力頂いたみなさま
  • Barilla バリラジャパン:調理用とお土産のスパゲッティのご提供ありがとうございました。生ウニのスパゲッティ、美味でした!
  • トラットリア イル・フィーゴ・インゴルド:30人という大勢の会を滞りなく進めて下さった、ホールの方々、厨房の方々。ありがとうございました!
  • :美味しいオイルのご提供、ありがとうございました。1番のオイルです。