赤坂の「ラ・スコリエーラ」にて、第2回目のオリーブオイルセミナー&ランチを開催致しました。
この店は、八丈島の漁師さんがオーナーであり、新鮮で本当に美味しい魚介を頂ける店。

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明るい店内はとても心地よい空間です。



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普段より活発にご質問が出ましたので、説明にも力が入ります。
いつもより長くなってしまった講義時間の後は、テイスティングです。

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今回使用したオイル
  1. イタリア ラツィオ州リエティ サビーナDOP。4種のブレンド。今回使用したロットはイタリアから届いたばかり。マイルドなタイプだが、シャープな香りと辛味が感じられる。
  2. イタリア ラツィオ州 もともとクオリティが高く、美味なオイルだが、1昨年の収穫・搾油。やはり酸化が進んでおり、香り味わいともかなり落ちる。
  3. イタリア シチリア種キアラモンテ・グルフィ DOPモンテ・イブレイ。トンダイブレア種単一。香りが高く、濃厚なオイル。心地良い辛味もある。
  4. イタリア カンパーニア州ベネベント オルティーチェ種単一。今回の5種オイルの中では最も辛味が強い。すっきりとした香りはさほど強くなく、素材の香りを邪魔しない。
  5. 日本 静岡県湖西市 浜名湖を望む農園で作られている。2種のブレンド。収穫・搾油から10か月を経て、香りも味わいも穏やかになっている。

先ず一種類をテイスティング方法をご説明しながら、全員で一緒にやります。
その後は各自で進めて頂きます。最後に皆さんから感想を伺うのですが、やはり感じた香りや味わいを言葉に表現するのは、難しいです。
10回以上ご参加されている方も、初めてご参加の方も、この難しさは変わらないようです。
ただ、大きく変わる点は、どのオイルが高品質で、どのオイルが落ちているか。ここを分かって頂ける点です。

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2回目のご参加の方が、「前回は残念なオイルがフルーティで良いオイルかと思ってしまいましたが、今回は分かりました」と。
嬉しいご意見でした。
クオリティが落ちているオイルは、どんな香りや味わいがするのか、もちろん1種類の香りや味わいではありませんが、代表的な物を覚えて頂くことがこのテイスティングの意味のひとつでもあります。

そして、お食事です。
前日の深夜まで試行錯誤を重ねて下さった魚返シェフから、メニューの説明を頂きます。

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前菜:冷前菜3種盛り合わせ

1.小笠原産尾長鯛のカルパッチョ
身がしっかりとしているのに柔らかい。これには、1番のオイルを。

2.白烏賊とチコリの自家製カラスミ和え
烏賊の甘味とチコリの苦味が美味。掛けられたカラスミが良いアクセントになっています。ここで既に味はベストバランスですので、掛けるオイルは引き立て役になる1番を。

3.カプレーゼ
小さなサイズにだまされてはいけない濃厚なモッツァレラとトマト。
これには、3番を。トマトに非常に良く合うオイルです。

 

前菜:本マグロのホホ肉のタリアータ

一見、肉と見紛う本マグロの頬肉。
香ばしい香りと良い油が乗ったタリアータはこのままでも美味しいのですが、合わせるオイルは4番。
ピリッと辛みが効きます。牛肉のタリアータで言ったらルーコラの代わりです。

プリモ(パスタ):秋刀魚と茸のスパゲッティ(Barilla社協賛)

これがシェフが前日の深夜まで試行錯誤を重ねた一皿です。
その甲斐あって、非常に美味!
テーブルから何度も何度も「美味しい!」の声が上がります。

テーブルに運ばれてくる途中から、燻製された秋刀魚の良い香りが漂います。その上には良く炒めた甘味ある玉葱。
スパゲッティには色々なキノコ類が入っています。
秋の一皿です。

この色々な味が混在するパスタに、何を合わせるのかと思ったら、シェフは2段階のオイル使いを提案なさいました。
先ずは、オイルを掛けずにそのまま。次に3番のオイルを掛けて。最後に4番のオイルを。
一皿で色々楽しめるこのアイディアに皆さん楽しそうでした。
こうしたしっかりしたお味のパスタはともすると途中で飽きてしまう事も。それが、オイル使いで「遊び」を入れることで最後まで美味しく頂きました。

今回のスパゲッティはバリラ社の1.7mm
魚返シェフもお気に入りのパスタです。

セコンド(魚料理):メバルのアル・リモーネ

なんと贅沢にも、一人一尾のメバルです。
ほろっと崩れる柔らかい身は、レモンの香りとケッパーの塩味を吸っています。
これには3番を。
これも美味でした。
レモンは掛けるのではなく、加熱していることで酸味は飛び、穏やかな香りだけが残っています。ケッパーもペースト状にしてありますので、そこだけが強い、ということがありません。1番でも美味しく頂けます。
メバルの出汁にオイルを掛け足してはパンを浸して頂きました。

 

ドルチェ:リコッタチーズのケーキ。レモンヨーグルトムース。

ドルチェにはお好きなオイルをそれぞれ掛けて頂きます。
もちろんそのままでも美味ですが、このレモンヨーグルトムースに3番のオイルを掛けると更に美味しく。
オイル無しでは物足りなくなります。


エスプレッソを頂き、お食事は終了です。


長いテーブルではあっても、やはり一つのテーブルということで、食事中も皆様と色々お話できましたし、オリーブオイルについてのご質問も沢山頂きました。
美味しいお食事を頂きながら、こうしてオリーブオイルについて色々お話するのは、本当に嬉しい時間です。

今回、講義時間がいつもより長くなりましたが、その後とてもスムーズにお食事を提供頂きましたので慌てることなくお開きの時間になりました。2度目ということもありますが、これもマネージャーの篠原氏のお陰です。

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魚返シェフにとって2回目のオリーブオイルセミナーでした。オイルの捉え方、初回から更に進化してらっしゃいました。
こんな風にオイルを使うのはどうでしょう。こんなスタイルは有りですか?
などと、楽しいご提案も頂きました。
出来上がってきたお料理も、やはり2度目ならでは料理でした。
普段、魚介の美味しさをストレートに出すお料理が中心ですが、今回のパスタのように、オリーブオイルセミナーならではの料理を作って頂けたこともとても嬉しいことです。ありがとうございました。

今回のセミナーでは着席したこともあり、普段控えているような本音もお話しました。
私も、柔軟なシェフの姿を見習い、色々な事を決め付けずに、そのセミナーそのセミナー、状況に応じて更に変化させてゆきたい。そう思います。

最後になりましたが、三連休の初日というお忙しい日に、お集まりくださった皆様に感謝いたします。
ありがとうございました!


ご協力頂いたみなさま