神谷町駅からほど近い「ダ オルモ」にてオリーブオイルセミナーを開催致しました。
3年前の開店からミシュランのビブグルマンにも連続して選ばれる人気のお店です。お席24席はすぐに満席でした。

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今回は、リピーターの方と初参加の方がほぼ半々。
何度も通って下さっている方に恐縮しながらも、基礎編のセミナーを致しました。
美味しい本物のオリーブオイルはどう作られているのか、どう保存したら良いのか。その他の食用油との違い、オリーブオイルが健康にもたらす効果、遊離脂肪酸、国産のオリーブオイル、海外のオリーブオイルetc

食を始め、様々なセミナーに参加なさっている男性から「このセミナーは体系的に学べるからいいですね。他のはプロモーションだったり、部分的ですから」と、お言葉を頂戴しました。
とても嬉しいお言葉でした。まさにそれを常に目指しています。一つのオイルや、部分的な事だけを取り上げるのでは無く、広く公平にオリーブオイルについて知って頂くのが目標です。

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食が好きで好奇心旺盛な方々が沢山いらっしゃいました。
栄養学を勉強なさっている方から、イタリアンのお店で働いている方なども。
普段より活発に質問が出ました。質問を頂くことは、嬉しい事ですし、私自身の勉強になります。

座学の後はいつものようにテイスティングです。
今回は全て単一品種。しかも、同じ品種のオイルも。品種比べをするつもりでのラインナップではありませんでしたが、たまたまそうなりました。

今回使用したオイル
  1. イタリア ベネト州 グリニャーノ種単一。2013年収穫。バナナのような香りが特徴で、味わいはマイルド。一昨年の収穫ながらもまだまだ質が高い。
  2. 残念なオイル
  3. イタリア シチリア州 トンダ・イブレア種単一。2014収穫。香りが高く、マイルドさと心地良い辛味を同時に感じられる、広がりのある味わい。
  4. イタリア シチリア州 トンダ・イブレア種単一。2014収穫。これも香りが高く、先に柔らかさを感じるが、後に強い辛味を感じそれが持続する。

3と4は全く同じ地域の、同じ品種です。そうなると、香りや味わいがかぶりますので、普段は同時にセレクトしないのですが、これらには違いがはっきりありますし、何より北村シェフが両方を即決。
何度もセミナーに来て下さっている方にも、面白い違いだったかと思います。

オイルについての背景や詳細をご説明をして、セミナーは終了。
ランチタイムに入ります。

シェフからメニューの説明を頂きます。

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「オリーブオイルから料理を考えたのは初めてでした。色々考え、試行錯誤しましたが、結局、普段からお店でお出ししているような、シンプルな料理に落ち着きました。」
この時点ではあまり多くを語らない北村シェフ。まず食べてみて下さい。という気持ちが伝わってきました。

先付:バッカラマンテカートと焼きポレンタ

合わせたのは1番のオイル。
丁寧に扱われているバッカラマンテカートはよくある塩気の強いものでは無く、丁度良い塩気と味わい。これに1番のフルーツを思わせる香りが寄り添い、まろやかさが加わります。
そして、時折、焼きポレンタの香ばしい香りが加わります。

実はこれは、打ち合わせの時に1番のオイルをテイスティングしたシェフが、即決したメニューです。流石、素晴らしいアッビナメントでした。

前菜:鮎のクロッカンテ 胡瓜と香草添え 西洋ワサビ風味

カリッとした鮎を、季節の鮎を爽やかな食材と香りが取り巻きます。マンテカートとポレンタの後に、この前菜。絶妙な流れです。
これに合わせたのは4番。
鮎の苦味と、ハーブ類の香りに負ける事の無い、4番のオイルの香りと強さ。美味です。
梅雨を吹き飛ばすような、キレのある一皿でした。

プリモ(パスタ):雲丹のリングイネ

濃い雲丹を受け止める、しっかりとしたリングイネ。
合わせたのは3番のオイル。
3番は香りが持続します。海の香りの雲丹、山の香りのオイル。これも相性は抜群です。
食べ進めた後に、4番のオイルをアクセントに掛けても、味わいがキリッと締まり楽しい変化でした。

セコンド(肉料理):鹿と玉葱のロースト

鹿肉にはもちろんハーブ類は使われていません。
肉を丁寧に丁寧に処理なさっているのを、セミナー前に拝見していました。
この柔らかく、香ばしい鹿肉には4番のオイルです。
甘い玉葱には1番のオイルを掛けてみると、更に甘く。

肉は決して少ない量ではありませんが、するっと入ってしまいます。穏やかだけれどしっかりと肉の味を楽しめます。肉を噛んだ時の肉汁と4番のオイルが口中で混じり、更に美味に。
これは4番のオイル無くしては考えられません。

 

ドルチェ:桃のゼリーとミルクのソルベ

ミントなどは飾りません。
香り高い3番のオイルがふんだんに掛けられているから。桃、ゼリー、ソルベに、3番のオイルが香りを添え、引き立て、それぞれの味わいを調和させていました。
これまた蒸し暑さを忘れる、涼やかな一皿でした。