Titone社を迎えてのセミナー&ディナー@バンデルオーラ

開催日:2016.06.10

シチリアはトラーパニの、オリーブオイル生産者Titoneティトーネ社の代表Antonella Titone氏を迎えてのオリーブオイルセミナーにて、講師を務めました。

banderuola

ティトーネ社のオイルを輸入している、株式会社アステイオントレーディングの主催です。

会場は恵比寿のトラットリア、 「Trattoria alla BANDERUOLA」にて。

生産者の声を聞くことができるセミナーということで、早くからお席は満席。多くの方にご参加いただきました。

banderuola
私は以前からティトーネ社を訪問し、彼らの人柄とオイルに魅了され、セミナーでもそのオイルを使用していることもあって、アステイオン様にお声を掛けて頂きました。
ティトーネ社のアントネッラとも、「いつか一緒に日本でセミナーをしたいね」と話していましたので、今回は本当に嬉しい機会でした。

バンデルオーラは、昨年5月にオープンし、今や人気店です。勢いのあるお店は、活気にあふれていますね。
banderuola30名余の料理を作る厨房は、忙しくとも、和気あいあい。

店に到着したアントネッラは、お店から求められ、恥ずかしがりながらもとても嬉しそうに壁にサインを。
banderuola今回、アントネッラと過ごし、彼女のファンが増えてゆく様を間近で見ていました。温かく、情熱的で、知的な彼女の人柄ゆえです。
ティトーネ社については、後にご説明いたします。

まずは、いつもの基礎編をかなり圧縮した、ショートバージョンをスライドを見て頂きながらお話し致しました。
banderuola
普段のセミナーでもお伝えし切れないことが沢山ありますが、今回は更に時間を短くしましたので、皆さまのお役に立てたのか、気掛かりです。

後に写真で知りましたが、厨房の中でもこうして西田シェフ始め、みなさんが真剣に聞いて下さっていたようです。

band24

テイスティングはもちろんTitoe社のオイル2種を入れた、計4種。
band56

今回使用したオイル
  1. イタリア シチリア州トラーパニ 「ティトーネ・ビオロジコ2015」 ノチェッラーラ デル ベリチェ、チェラスオーラ、ビアンコリッラ等のブレンド。イタリアでいち早くオリーブの有機栽培を始めた農園。収穫後、実の温度を上げないため冷蔵場所に置き、3~6時間以内に搾油。青いトマトやヘタの香り、草の香りが高く、味わいはアーモンドなどナッツの甘みから始まり、最後に辛みと苦みを少し感じる。
  2. 残念なオイル
  3. イタリア シチリア州トラーパニ 「DOPバッリ・トラパネージ ビオロジコ2015」 ノチェッラーラ デル ベリチェ、チェラスオーラ、ビアンコリッラのブレンド。1と同じく爽やかな香りが高く、味わいは1より強く、辛みと苦みを感じられる。
  4. イタリア カンパーニア州ベネヴェント オルティーチェ単一。2015年収穫。地場品種のオルティーチェにこだわる生産者。草、トマト、青りんごの香り。しっかりした辛みと苦みが特徴。

最初はとても静かだったテイスティングですが、次第に意見が。生産者が居る事で、皆さまコメントが難しかったのかも知れませんね。

1、3、4と好みは分かれましたが、いずれも非常にクオリティが高いオイルです。
1と3のティトーネ社のオイルについては、後半のセミナーでアントネッラに語って頂きます。
まずは、乾杯です。

band23
そして、お食事のスタートです。
西田シェフからメニューを説明を頂きました。豊後水道の魚介をたっぷりと使ったお料理の数々です。

前菜:豊後水道の魚介マリネの盛り合わせ

キハダマグロ、ブリ、緋扇貝には、3番のオイルを。
キハダマグロの燻製が香りよく、3番オイルの青い香りと辛みがとても良く合っていました。
鯵には4番のオイルを。強さのある青魚とバランスが良いオイルです。

プリモ(パスタ):ブジャーテ トラーパニ風

竹ひごを使って作る手打ちパスタ、ブジャーテ。これを西田シェフたちは34名分も手打ちで作って下さいました。
ソースは、アーモンド、ニンニク、トマト、バジルのトラーパニ風ペーストです。
ここには1番のオイルを。

プリモ(パスタ):トラーパニ風 魚介のクスクス

クスクスと海老が盛られたシチリアの大皿が、テーブル毎に。
それを各自取り分け、別添えのスープを掛けて頂きます。

banderuola

打ち合わせの時から、シンプルなスープだけのクスクスを。とお願いしていました。
私がトラーパニで食べるクスクスも、本当にシンプルなスープだけのものです。

魚介の出汁、それを吸うクスクス。美味です。
そして、ここに1番のオイルをたっぷりと掛けて頂くと、温められたオイルの爽やかな香りが口の中一杯に広がり、美味しさが倍増します。

セコンド(肉料理):骨付き錦雲豚肩ロース 炭火焼

錦雲豚。これも、西田シェフご出身の大分県の食材です。オレイン酸を多く含むことや、脂肪の融点が低い事が特徴だそう。
確かに、セミナー中、何度も席を離れる私、冷めてからでも脂身を美味しく頂きました。

ここにはもちろん強さのある4番のオイルを。

ドルチェ:クスクスドルチェ

クスクスをケーキのように仕立て、チョコレートやナッツ、フルーツが散らしてあります。
ここには1番のオイルを。

先ほど頂いたパスタとしてのクスクスと、まったく別物に変化しています。
プツプツとした軽いタルトを食べているようです。
チョコレートとも、果物とも、この1番のオイルは好相性でした。
4番の辛みを効かせても美味です。


お料理を一度に掲載しましたが、実は途中で、アントネッラのセミナーが入っています。

band061

普段、私がセミナーで使用する「美味しいオリーブオイルをつくるひとたち」の中の、Titone社のロングバージョンを今回の為に作成。
アントネッラにはあらかじめ、それを見て頂き、これに沿って進めてもらいました。

banderuola

プロの通訳無しでの説明でした。
私の拙いイタリア語で精一杯お伝え致しましたが、やはり限度があります。
途中、お客様に助けて頂きながら、スライドを終了。

banderuola

質疑応答に移ります。

皆さまから次々にご質問が出ます。
「何故毎年ブレンドの比率を変えるのか。それによって、味は変わるのか。」
「ブレンドにどのくらいのテストと、時間を掛けるのか」
「ボトルの注ぎ口はどうしてこの形なのか」
「有機栽培の為に放している動物たちが、オリーブの樹や実に悪さをすることはないのか」

アントネッラと一緒にテーブルを回った際にも、沢山ご質問を頂きました。
「剪定はどのようにしているのか」
「どのくらいの間隔で植え、どの程度の高さにするのか」
「絞りかすはどうしているのか」
「どの品種がもっもと大切か」

短くとも基礎編を聞いて頂いた後の為、いずれの質問も、非常に的確でした。
当然のことながら、これらを訳していく事は一苦労でしたが、何よりアントネッラの勘の良さと、平易なイタリア語を選んで話してくれる知性に助けられました。

そして、彼女の気遣いにも感心致しました。
セミナーでは常に、全員の方とお話しすることを心掛けています。
アントネッラにもそれを伝え、ゆっくり座る時間が無くて申し訳ないけれど、一緒に回って欲しいと。
すると、彼女は一人でも皆さまの所へ行き、たとえイタリア語が通じなくとも、本当に熱心に聞き、話していました。
当然ながら、この熱意を、皆さま肌で感じられたご様子でした。


美味しいオリーブオイルを作る彼らに是非会いたいと思い、初めてTitone社にお邪魔したのは2010年。まだオリーブオイルについて勉強を始めたばかりの頃です。

今回来日したAntonellaのお父様のNicola氏に、農園と搾油所をご案内頂きました。シチリアで、いえ、イタリアの中でもオリーブの有機栽培の先駆けの農園です。

例えば、オリーブの大敵オリーブ実バエの対策。海に近く標高も低いTitone農園にとって、これは最大の課題です。
Nicola氏が試行錯誤の上、開発したオリーブ実バエ対策は、今ではイタリアの色々な農園で見掛けます。

banderuola
それ以来、シチリアに行く度に彼らを訪ねていました。
アントネッラが自身のオイルを世界に広めてゆく様子、イタリア全土で不作だった一昨年、ご家族に起こった出来事、、、

今回、こうして尊敬し、大好きな生産者と一緒にセミナーが出来たこと、本当に素晴らしい経験でした。

banderuola
セミナーでも言いましたが、ワインの生産者と違い、オリーブオイルの生産者はそうそう来日しません。
ワインとはマーケットの規模、収益が違いますので、当然広宣費も違います。
もしこれがワインのメーカーズディナーでしたら、ケースでお買い求めになる方もいらしたことでしょう。一晩で1本、当然のように消費できます。
しかし、オリーブオイルは違います。
この夜は、本当に貴重な機会でした。

 

ティトーネ社のオリーブオイルのように、クオリティ高いオリーブオイルは、情熱だけでは出来ません。
化学に裏づいた正しい知識と、それを活かす技術が必要です。
特に搾油技術の進歩は止むことはありません。アントネッラはその先端を導入しようとしています。

いえ、アントネッラだけではありません。
昨年の夏、お父様ニコラ氏もおっしゃっていました。

nicola
美味しいオリーブオイルを作る上で、
「最も大切なことは、常に最新情報を取り入れ、技術を進化させてゆくこと」だと。

それでも、思います。
それをしてゆくのは、「人」です。
彼らの「人」あってのオリーブオイルです。

作る人である生産者、それをもたらす人であるインポーター、繋ぐ人である私、作る人であるお店、そしてこれら全てを受け止めるお客様。

全てが一堂に会した夜でした。

banderuola
この夜ご参加下った皆さまは、高品質のオリーブオイルにとって不可欠な「革新」と「人」を、ご理解下さった事と信じています。

素晴らしい時間をご一緒下さいまして、本当にありがとうございました。


ご協力頂いたみなさま

← 過去の投稿へ

次の投稿へ →

Customer's Voicce

  1. R.O様(女性)

    オリーブオイルの味、香り、喉ごしをこんなに真剣に自分に問いたのは、初めてでした。青いトマトの香り、ピリッとした味に感動しました。
    お料理も素朴で美味しかったです。
    生産者の方のプライドと情熱もステキでした。

  2. 匿名

    ティトーネ社のオリーブオイルに対する熱い情熱を感じ、とても勉強になりました。
    真島さんのわかりやすい解説、イタリアに行った気分になり、楽しく過ごすことが出来ました。

  3. T.N様(男性)

    シチリアづくしの夜、最高でした。
    情熱的な二人が素敵でした。オリーブオイルっていいですね!

  4. M.M様(女性)

    今日もとても楽しみました。
    アントネッラにお会い出来て、感動しました。いつもながら、真島さんの思いが伝わるセミナーでした。ありがとうございます。

  5. N.H様(男性)

    大変分かりやすく、とても貴重な時間になりました。
    職業柄、普段何気なく使っていたオリーブオイルの出来るまでや、作り手の方の情熱も知ることが出来ました。ありがとうございました。