イタリアの中部モリーゼ州のオリーブオイル生産者ジョルジョ・タマーロ氏の来日に合わせ、オリーブオイルの会が開催されました。

laciau2016
主催はタマーロ氏のオイルColle D’Angiò コッレ・ダンジョを輸入している、プリマヴェーダ株式会社。
初来日の今回は、奥様のジョコンダさんも一緒です。

以前からColle D’Angiòのオイルをセミナーでご紹介していた為、プリマヴェーダさんから講師の依頼を頂き、この貴重な会でミニセミナーとテイスティング説明をさせて頂きました。

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会場は芝浦のリストランテ ラ・チャウ
ここは、2度セミナーをさせて頂いている、私にとってもとてもご縁のあるお店です。
馬渡オーナーシェフは、Colle D’Angiòのオイルをオイルを気に入り、日ごろからお店で使ってらっしゃいます。

シェフのお料理は修行先の北イタリアのものが物が中心ですが、今回は、モリーゼ州のお料理にも挑戦してくださいました。
3度目のオリーブオイルセミナー、しかも素晴らしいホール担当の小川氏のお陰で準備から非常にスムーズ。

 

期末の金曜日にも関わらず、多くの方が足を運んで下さいました。

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主催のプリマヴェーダの大槻社長の挨拶の後、ミニセミナーの開始です。
普段1時間近くお話することを、ぎゅっとまとめて20分程度に。もちろんお伝え出来ない事が沢山ありましたが、先ずは質の高いオリーブオイルとはどう作られているのか、何をもってエクストラバージンと世界基準では言うのかだけでも知って頂くことは、質の高いオリーブオイルを知るためにも大切なことかと思います。

 

テイスティングはもちろん、Colle D’Angiò社のラインナップ。
ですが、その前に、残念なオイルから。

日本は国際オリーブオイル協会に加盟しておりませんし、EU加盟国でもありません。エキストラバージンオリーブオイルの規定はありません。そんな理由からも、Colle D’Angiòとは大違いの「エキストラバージンオリーブ」がたくさんあります。
それと比較していただきながら、Colle D’Angiòのオイルを味わって頂きました。

 

今回使用したオイル
  1. 【グリーンラベル】Colle D'Angiò "Oliva nera di Colletorto" 2015年収穫。イタリア モリーゼ州カンポバッソ オリーバ・ネーラ・ディ・コッレトルト種単一。カンポバッソ地域の土着品種。オリーブの樹はストレスが掛からないよう、十分に間隔を取って植えられている。収穫後は温度や光を極力避け、数百メートルの場所にある搾油所で搾油。
    グリーンオリーブや、アーティチョークの香り。味わいは辛味と苦みが程よくあり、バランスも良い。
  2. 【ブラックラベル】Colle D'Angiò "Rumignana" 2015年収穫。ルミニャーナ種単一。これもカンポバッソ地域の土着品種。搾油率が低いため生産されなくなっていたが、少しずつ増植し今に至る。
    香りはより緑が強く、ハーブの香り。ローズマリー、オレガノなど。味わいも強さを増し、辛味と苦みが持続する。
  3. 【グリーンラベル新油】Colle D'Angiò "Oliva nera di Colletorto" 2016年収穫Novello。今年は例年に比べ収穫が早く、9/26に収穫搾油したもの。搾油したての香り、オリーブの実そのものの香りや草をちぎったときのような香りが高い。味わいは最初のシャープな辛味のあとは、マイルドさを感じる。

最初に確認頂いた、残念な「エクストラバージン」とColle D’Angiò社のオイルの明らかな違いに、皆さま驚いていらっしゃいました。
これこそが、本物のエクストラバージンオイルであり、質の高いオイルです。

Colle D’Angiò 社は、タマーロ一家だけで収穫から出荷まですべてを行っている小さな会社です。収量も出荷量も多くありません。
タマーロ氏のこだわりは、土着品種と、クオリティ。昔からある土地の品種を大切にし、それをより良い質のオイルにしています。
輸入している大槻氏曰く、毎年美味しくなると。それは数値にも表れており、年々、過酸化物価や遊離脂肪酸量が減っているそうです。

今回、なんとNovello 新オイルがテイスティング出来ました。

今年は収穫が例年に比べ早く、初日は9/26
この初日のオイルをタマーロ氏が手持ちで持参くださいました。この貴重なオイルをテイスティング出来、ご参加の皆さまはとても喜んでらっしゃいました。しかも、本数に限りがあるとはいえ、購入も出来きたのです。

希望者多数ゆえ、じゃんけんになったのですが、大盛り上がりでした。

東京、いえ日本で最も早いイタリアの新オイルテイスティング会だったと思います。

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お待ちかねのディナータイムは、馬渡シェフのメニュー説明から。
Colle D’Angiò社のそれぞれのオイルに合わせた美味しそうなメニューに期待が高まります。

プリマヴェーダ社から乾杯用にスプマンテがサービスされました。これも同社扱いのワインです。

乾杯の音頭はもちろんジョルジョ氏とジョコンダさん。

 

先付:インサラータ ルッサとモルタデッラ

insalata Russa  直訳すればロシアのサラダです。ポテトサラダです。
これが諸説ありますが、イタリアではピエモンテ州が始まり。馬渡シェフの修行先です。
通常のメニューにもあるこのポテトサラダ、オイルとの相性が非常に良く、今回は特にグリーンラベルのオイルに合うようにアレンジ頂きました。

オイルの香りをダイレクトに感じられる、突出しです。

前菜:鶏むね肉のボッリート オレンジのインサラータ

これまたオイルをしっかりと味わって頂くため、あえて鶏むね肉をセレクトして頂きました。
たっぷりとオイルを掛けて、料理の完成です。

当初、グリーンラベルと合わせることを考えたのですが、ジョルジョが「オレンジが使われるてるならば、ブラックラベルを合わせるべきだ」と。
なぜならば、ブラックラベルの方がよりハーブ感が強く、オレンジの香りと相性が良いとのこと。
地元でも、酸味あるフルーツに良く合わせるそう。

たっぷりと2番のオイルを掛けて。淡白な鶏の胸肉を、オレンジの香りとオイルのハーブの香り、交互に楽しみながら頂きました。

プリモ(パスタ):海老とズッキーニ フレッシュトマトのカヴァテッリ

海老の出汁をしっかりと吸ったパスタとズッキーニがたまらなく美味しい一皿。
これに、グリーンラベルをこれまたたっぷりと掛けて頂きました。
彼らの家は、テルモリという町で、海にとても近く、魚介を沢山食べるそうです。特に海老。
このメニューは大槻氏が彼らの農園に訪問した際のヒントから。

それにしても美味なパスタ。掛けなくとも美味しいのですが、掛けることで、香りが加わり更にまろやかな味わいにも変化。

セコンド(肉料理):サルシッチャを詰めたトマトのオーブン焼き

豚肉をそのままグリルするより、オイルとなじむようにと、サルシッチャに。トマトの器に入ることで、軽やかに頂けます。
これには、ブラックラベルを。

メニューには乗っていませんが、モリーゼ州の料理Panpanellaをアレンジした豚肉料理を馬渡シェフが追加下さいました。
モリーゼ州という小さな州の料理ですから、流石のシェフも召し上がったことがなく、写真とネットの動画を頼りに作って下さいました。

本来は唐辛子粉をたっぷりと使うようなのですが、パプリカ粉多めのこれは、マイルドでした。
蒸し焼きされた豚が柔らかく、とても美味な料理です。

 

ドルチェ:レモンのムース

このセミナーの打ち合わせの際に頂いたレモンのムースが、グリーンラベルと非常に合うことが分かり、是非にとリクエストしたドルチェです。
グリーンラベルのオイルは、柑橘の内側の白い皮のような香りがします。レモンにとても良く合います。

これには、新オイルをたっぷりと掛けて頂きました。オイルの色はクオリティとは全く関係は無いとは言え、やはり絞り立ての美しい緑のオイルが掛かる様は、とても綺麗です。

ドルチェ:小さなドルチェの盛り合わせ

レモンのムースのほかに小さなドルチェの盛り合わせに、女性たちからは嬉しそうな声が。

小川氏の煎れる美味しいカッフェと共に、ディナーは終了です。


 

お誕生日の方がいらっしゃり、プレートをお願いしたら、こんな素敵なプレートが。
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皆さまでお祝いしました。
グラスが空いている方には、ここでまたスプマンテがふるまわれ、また盛り上がりました。

今回の料理は全て、オイルはキッチンでなく、テーブルで掛けて頂いて完成するものばかりでした。
手元で掛けると、より香りが引き立ちます。
オイルを引き立てる料理を提供下さった馬渡シェフ。
中でも、あの鶏の胸肉、何も掛けずにお客様の目の前に届けることは、勇気が要ったことと思います。
ご配慮と勇気に感謝致します。

普段の私のセミナーでは、オイルはカウンターに置き、カップにお代わりして頂くスタイルですが、今回はメーカーズディナーですから、各テーブルにオイルを置き、たっぷりとオイルとその雰囲気を味わって頂きました。

セミナーの打ち合わせでも、タマーロ氏がおっしゃってました。
「僕たちは、テーブルに常にオリーブオイルを乗せているんだ。日本人が醤油を乗せているように。そんな文化も伝えられたら嬉しい。」と。

この夜は、テーブルの上にオリーブオイルが乗ったのはもちろんのこと、集まった方々で楽しく、熱気に溢れた会になりました。
まるで、週末のイタリアのお店のように。

これは、タマーロご夫妻の温かく、真面目なお人柄によるところが大きかったと思います。
弾丸の来日、しかも、収穫を迎えた農園からです。来日前もそれはきっとお忙しかったはず。
それなのに、疲れひとつ見せず、にこやかにテーブルを回る彼らに頭が下がりました。

ジョルジョは私の拙い訳にも、理解を示して下さり、平易な言葉を選びながらも熱心に説明下さいました。

今回、ポリフェノールがキーワードになりました。
20年前、彼のお祖父様がオイルを作っていた頃は、ポリフェノール等という言葉は誰も知らないし、苦みや辛みのあるオイルは欠陥だとすら言われていたこと。
それが、地元の薬剤師から認められたこと。
オリーブオイルのポリフェノールは薬に勝る効果すらあることが、認められはじめ、オイルの苦みや辛みも少しずつ受け入れられるようになったこと。
そんな事も、自ら話して下さいました。

打ち合わせにはない、「ちょっとあることを話したい」とタマーロ氏がおっしゃった時は、彼の意図をきちんと訳せるか当初は不安に思いましたが、多分皆さまにも伝わったと思います。
何世代にも渡り、オリーブオイル生産を家業としてきた当主ならではの貴重なお話しでした。


一人でセミナーをするときと違い、このように、色々な要素が出て参ります。
慣れない通訳をしていたこともあり、普段ならばしっかりと流れを頭に入れ、それに沿うところを、失念したり、気を取られたりすることがしばしば。

そんな時に、必ずホール担当の小川氏がすかさずアドヴァイスくださったり、フォローしてくださいました。私は安心して前に立っていられたのは、小川氏のお陰です。
素晴らしいアシストをありがとうございました。

終了後、ご参加者のお一人にメッセージを頂きました。
「・・・・知らない同士があのように和やかに過ごせるという体験を初めてしました。好きなことで繋がれるってよいですね。」
同じテーブルになった方々ととても楽しそうに過ごして下さった方からです。

オリーブオイルが繋ぐ、人と人との輪。

生産者と消費者を繋ぐことが目的のメーカーズディナーですが、それだけではなく、こうして、隣り合った者同士が楽しく過ごせたことも、オリーブオイルのお陰です。

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今回、写真掲載のお許しを得るのを忘れ、モザイクを掛けておりますが、どの写真も、笑顔で一杯です。

このように熱気と和気溢れる良い会にして下さったご参加の皆さまに、主催者一同、心から感謝致します。
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ご協力頂いたみなさま
  • プリマヴェーダ株式会社:今回お声を掛けて頂き、本当にありがとうございました。素晴らしい会に参加出来、とても幸せです。そして、日頃からクオリティ高いオイルを輸入し、良い状態で保管なさっている事、尊敬致します。
  • リストランテ ラ・チャウ:オイルを引き立てる美味しい料理の数々と、的確なサポートをありがとうございました。新しい料理のチャレンジ、素晴らしいものでした。
  • Colle D'Angiòコッレ ダンジョ:Giorgio e Giconga,Grazie a voi!