大阪市 北新地の人気イタリアン「リストランテ トム クリオーザ」にて、オリーブオイルセミナーをさせて頂きました。
通常は夜だけの営業ですが、特別にランチに開けて頂き、セミナー&ランチです。
浅井シェフの料理は、日本の旬の食材や手法を取り入れながらも、イタリアン。料理とオリーブオイルのどんな相性が見つかるか、とても楽しみにしていました。

大阪でのセミナー開催は初めてゆえ、お客様も初めてご参加下さる方ばかり。
基礎編のお話を致しました。
前日、前々日と、オリーブオイルの世界の権威でもある先生たちの講義を聴いたばかりでしたので、お伝えしたいことがそれはもう沢山。

抑えつつ、テイスティングです。
いつものように4種ですが、サプライズが。
今年の秋、いえ、先週に搾油されたばかりのオイルを5番目としてテイスティングすることができました。

今回使用したオイル
  1. イタリア シチリア州ラグーザ キアラモンテ・グルフィ。2016年収穫搾油。トンダブレア種単一。樹に無理をさせない伝統的な育て方をし、搾油は新しい設備でしている。この品種の特徴であるトマトの香りが高い。例年に比べると苦味と辛味は控えめ。
  2. エキストラバージンオリーブオイルの表記はあるものの、エキストラバージンオイルにあってはならない酸っぱい香りがする。コンビニで398円で購入。
  3. イタリア ベネト州ヴェローナ メッツァーナ・ディ・ソット。2016年収穫搾油。グリニャーノ種単一。古来からこの地に育つ品種だが果実がデリケートな為扱いにくく、生産が減り、現在はこのエリア全体でも数千本に満たない。フルーツや花の香りが豊かだが、料理の香りを邪魔することなく素材を引き立てる。適度な辛味もある。
  4. イタリア トスカーナ州 バーニョ・ア・リーポリ 2016年収穫搾油。フラントイオ種単一。機械収穫後6時間程度で搾油。環境適応能力の高さから世界各地で栽培されているフラントイオ種だが、本家本元らしくこの種の特徴である強い辛味や苦みが際立っている。アーティチョークなど濃緑の野菜や、オリーブの葉や実の香り。
  5. イタリア シチリア州ラグーザ キアラモンテ・グルフィ。2017年収穫搾油。トンダブレア種単一。搾油直後ならでは青臭いむせるような香りと、クロロフィルたっぷりの美しい緑色。

1番のシチリアのオイルの味わいはとてもマイルドですが、それでも喉に通った時にほんの少しだけ辛味を感じます。
この微妙な辛味に驚くデリケートな方が大半でした。ゆえに、4番の辛く苦いオイルに顔をしかめる方がほとんど。

お好みを伺うと、なんとほとんどの手が1番に挙がりました。
こうなると、食事の際に、皆様のご意見やお好みが変わるか楽しみになります。

さて、先週搾油されたばかりのオイル。イタリア シチリア州のオイルです。1番のオイルの新油です。
インポーターさんのご厚意で、特別に1本分けて頂けました。まだ商品としては日本に届いておりません。
インポーターさんご自身がシチリアから持ち帰られた、貴重な1本です。

オリーブオイルの質は、色とは全く関係ありません。黄色でも緑でも質には関係ありません。
しかし、、、このように美しい翡翠色には、本当に魅せられます。
香りも草木を手折った時のようなむせ返るような香り。
大地の恵みであることを感じさせる、そして、生産者の一年の努力を感じる美しい翡翠です。


皆様からも、オイルが配られると同時に歓声が上がります。
まるで蛍光塗料でも入っているかのような、クリアな緑。きっと初めてご覧になったかと思います。

そして、その後は、浅井シェフから料理の説明を頂きます。
お客様は飲食がお仕事の方や、食材を扱う方、グルメな方です。先ずは、ワインを先にテーブルに。
ワインを頂きながらシェフの説明を聞きます。

前菜:岐阜 多田さんのペルシュウと仔牛肉のロースト 季節のフルーツとゴルゴンゾーラのサラダ

まるで花畑のような一皿。
ベルシュウとは、生ハムのこと。生ハムの聖地パルマの言葉です。
生ハムの故郷パルマに似た気候を持つ岐阜で作られた貴重な生ハムが敷かれた上に、イチジク、洋ナシが。
岐阜の繊細な生ハムが、フルーツにねっとりと絡みます。そして、仔牛のローストもやわらかく、これまた火が入ったハムのようにも感じます。
ゴルゴンゾーラの塩気と、ルーコラの苦味が全体を締めます。

ここには、1番のシチリアのオイルを。
このオイルの香りが添えられると、この皿が一層華やかに。

スープ:天然キノコのコンソメスープ

お皿には、香りが閉じ込められた状態でサーブされます。
そして、はさみを入れると。。。


キノコの香りがふわ~っと広がります。
先ずはそのまま頂くと、香りも味わいも、和食か中華のよう。

ここに3番のヴェネトのオイルを掛けると、途端にイタリアンに。温かい所に掛けますので、オイルの香りがぐんと引き立ちます。
しかも、キノコの香りも更に広がります。

「掛けた方が美味しくなりますね!」
と、周囲から声が。

プリモ(パスタ):いろいろな魚介類のキタッラ

手打ちのキタッラと、魚介の出汁の強さのバランスがとても良く、味わいはとてもクリア。

色々なものをそぎ落としたパスタ。これはまさに1番のオイルの為の料理です。
1番のオイルを掛けると、魚介や小麦の香りが増幅し、味わいも深みが増します。
1番のオイルとの相性のお手本のようなパスタでした。

セコンド(肉料理):牛ホホ肉の赤ワイン煮込みとグリーンアスパラガス

野菜をたっぷりと使って煮込んでいる牛ホホ肉は、とても軽やか。
粒マスタードが向こう側に添えられていますが、煮込み自体にはハーブやスパイス類は控えられています。
もちろん、オリーブオイルの為。

ここには4番のウンブリアの辛くて苦いオイルを掛けます。
オイルの香りがハーブの代わりになり、味わいがピリッとスパイスに。
掛けなくてももちろん美味しいのです。が、掛けると味わいが締まるのです。

ドルチェ:じっくり焼いたハチミツパンナコッタとぶどう

ここにもしっかりオリーブオイルを合わせる目的で作って頂いたドルチェ。
合わせるオイルは1番のシチリア。
これは、オイル無しより、掛けた方が断然美味しいドルチェでした。


いずれの料理も、オリーブオイルを掛けるとより奥行と広がりを感じました。

オリーブオイルセミナーだからと言って、ただオイルをたっぷり掛ければよいというものではないと思っています。
食材とオイル、相性の良い物同士を見つけて、単に掛けるのも違うと思います。

オリーブオイルを、掛けることが、使うことが必然であること。

これがオリーブオイルを使う意味だと思っています。

今回、浅井シェフはこうした料理を提供下さいました。

さて、1番オンリーだった皆様の反応、食事中は如何だったかというと、、、
もちろん1番は誰からも好まれる優等生ですので、人気は引き続き。

3番が食と出会った時の変化を気に入る方も増えました。
実は浅井シェフも、オイル単独でテイスティングした際は3番オイルは苦手だったのに、料理を合わせ始めたところ、最も気に入ってしまったのが3番だそう。

4番も、その強さを気に入る方が増えました。ここまで強いオイルは初めてだけれど、料理と合せると面白い。といったご意見でした。

 


初の大阪でのセミナー。
開催決定は1か月前という、短期間且つ短く少ない打ち合わせだったにも関わらず、浅井シェフ始めスタッフの方々のおかげで、滞りなく進めることができました。

そして、何の人脈も無いところへ、イベント告知のアシスト下さった方のお陰でこの会自体成り立ちました。
心から感謝致します。

ご参加下さったみなさま、本当にありがとうございました。

 


ご協力頂いたみなさま