外苑前の「Ristorante HONDA」にて、第6回目のオリーブオイルセミナーを開催致しました。
昨年の改装からは初めてのセミナーです。

店内も白のテーブルクロスからグレーと、シックに変わりました。

6回目ともなると、お店の方々も熟知して下さり、準備もとてもスムーズです。

金曜の夜。
仕事を早めに切り上げてくださった方々が集まっていらっしゃいます。

平日の夜ゆえ、セミナーは短縮版です。
質の高いオリーブオイルは何にポイントを置いて作られているのかを中心にご説明致しました。

テイスティングは4種類。
素晴らしいエキストラバージンオリーブオイル3種類と、ラベルこそエキストラバージンオリーブオイルですが、疑わしい物の1種です。

スタッフの方々総出でオイルを配って下さいます。サービスの方たち、スーシェフ、そして本多シェフも。

今回はスペインオイルが中心と言っても良いラインナップでした。
打合せの際に、「良いオイルがあるのですが、スペインのオイルでも良いですか」と伺うと、本多シェフは2つ返事で「面白そうですね。是非!」と。

HONDAはイタリアンレストランですが、イタリアの食材だけ使うわけではありません。
「今は一つの国の物にこだわる時代ではなく、美味しい物は色々な国にあるあるんですよね」と本多シェフ。

ご参加の方の中には、昔のスペインオイルのイメージをお持ちの方もいらっしゃり、スペインのオイルの美味しさに驚いていらっしゃいました。

今回使用したオイル
  1. スペイン アンダルシア州マラガ 2017年収穫・搾油。オヒブランカ種単一。非常に長い歴史を持つ生産者。バイオダイナミック栽培された実を、農園の中心に据えられた搾油所にて収穫後2~3時間以内に搾油。バナナ等をはじめとしたフルーツ香が高く、心地良い辛味を持つ。
  2. エキストラバージンオリーブオイルには無いはずの、カビ臭などがする。
  3. スペイン アンダルシア州ハエン 2017年収穫・搾油。ピクアル種単一。無農薬栽培、収穫時の気温が一定以上の場合、ナイトハーベストをし、収穫後の実も数時間後には搾油まで冷却するというこだわりのオイル。草を刈った時のような爽やかな香りやトマトの香り。シャープな辛みもある。
  4. イタリア サルデーニャ州オリエーナ 2017年収穫・搾油。ボザーナ種単一。乾燥した大地で有機栽培された健康な実を、清潔且つ効率良く搾油。香りが高く、ポリフェノールが多いボザーナ種の特徴が良く出ている。緑濃い葉やハーブの香り。2017年は例年に比べ苦みが強め。

テイスティング後は、生産者のご紹介です。
昨年秋に訪問した3番のオイルの、広大な農園と大きく近代的な搾油所、そして、滞在させて頂いたお城の様子など。
4番のオイルの生産者は、3年前に行った時の様子を。少し間が開いてしまっていますが訪問以来、生産者とはメール等で連絡を取り合っています。

プロジェクターを使い、写真を見て頂きながらご説明しました。
私の訪問を、一緒に体験したように思って頂ければ幸いです。

これでセミナーは終了。
乾杯からお食事のスタートです。


メニュー説明はまとめてではなく、その都度、丁寧にご説明頂きました。
やはりこうしたセミナーは、好奇心旺盛の方が多くいらっしゃいますので、こうしてシェフが細かく説明して下さると、更に盛り上がります。

先付:3種のstuzzichini

左から

  • 淡路産 鱧のブランタード
    鱈とじゃがいもでするところを、贅沢に鱧で。オイルをたっぷり使う料理ですから、既に1番のオイルで仕上げられています。
    それでもここに軽く掛けると、鱧の味わいがぐっと締まるのです。
  • カカオを纏った鶏の白レバーのパテ
    このままで十分に美味なのですが、オイルを入れるとカカオのえぐみと1番のオイルの苦味がリンクし、鶏のレバーの味わいをスッキリさせる効果が。
    この2つの全く異なる食材・味の両方に1番のオイルがきっちりと合うことに感嘆します。
  • ブルスケッタ・ケッカ
    美しい見た目に騙されそうになりますが、濃いトマトとしっかりとした味は、まさにイタリアで頂くブルスケッタです。美味。
    トマトの香りを持つ3番のオイル、合わないはずはありません。
前菜:藁で燻製にした鰹のカルパッチョ ビーツ・カシス・新玉ねぎ

鰹自体が美味しいことはもちろんなのですが、軽くマリネされたビーツの甘みと酸味とえぐみ、カシスの香り、薬味になる新玉ねぎの食感、これらを全て一緒に頂くと、また違う世界に。

バナナの香りがする1番のオイルは、果物と良く合います。この皿のカシスを引き立てます。軽く燻された香りにも合います。
これまた2段構えの合わせ方です。

プリモ(リゾット):毛ガニのパエリア HONDA風

毛ガニを贅沢に使ったパエリア。
取り分ける前のパエリアパン。

パラリとした米にはカニの旨みをしっかりと吸っています。
そのままでも美味しいのですが、レモンを絞り、3番のオイルをたっぷり掛けると、香りと味わいがグンと広がります。
3番のオイルを念頭に置いた、仕上がりのパエリアでした。

セコンド(肉料理):仔羊のパン粉焼き エピスの香り

肉の張り、柔らかさ、火の入り具合。頂くたびに感動する仔羊料理。
今回は、4番のオイルと頂きます。
仔羊の甘い肉と、4番のオイルの胡椒をひいた時のような香り、苦味と辛味の相性は非常に良いものです。
のちに中継した4番オイルの生産者も、「肉だったら仔羊が最も合うと思う」と。

ドルチェ:いちじく、アメリカンチェリーとヘーゼルナッツのタルト

ここには1番のオイルを掛けて頂きます。
バナナの香りが、このドルチェに最適です。打合せの時から決まった組み合わせでした。

もう一つの香りを添えることによって、味わいも広がりますし、下のタルトと上のフレッシュフルーツとの繋ぎの役もします。

ワイン:ワイン

吉田ソムリエが用意して下さったワインです。
お皿ごとに、スプマンテから始まり、白2種、赤1種のデグスタツィオーネコースが。
鰹の燻製にこのロゼが良く合いました。


今回のセミナーでは、HONDAでの初光景が見られました。
なんと、お代わりです。通常はもちろんお代わりなんてありません。

パエリアのお代わりを、客席で本多シェフ自らよそってくださいました。

もちろん私はオイルを掛けます。3番のオイルです。
「たっぷり掛けると美味しいですよ」との本多シェフの言葉に、私も遠慮なく垂らします。


メインが終わった頃、4番オイルの生産者Sebastiano Faddaご家族と電話をつなぎました。

どんな様子で彼らのオリーブオイルを楽しんでいるか、それをFadda家の方たちに見て頂きたく、セミナーご参加の方々にはどんな生産者がどのような思いで作っているのか触れて頂きたいからです。

Fadda氏からの質問は「LunaVeraの苦味は強めだと思うか?強いとしたら、それはネガティヴに感じるか、それとも心地良いものなのか?」
など、やはりオイルの評価でした。

「苦いけれど料理と合せたときに変わる」「嫌な苦味ではない」
との皆さまのお答えに、Fadda氏は嬉しそうにしていました。

 

今回で6回目となったHONDAでのセミナー。
毎回、オリーブオイルと料理の新しい発見があります。特に今回は今までに無かったスペインオイル。
いつものイタリアをスペインに替えることは、本多シェフにとって新しいチャレンジだったと思っています。
オイルを変えることで、料理も大きく変化する事を、改めて実感した会でした。

素晴らしいお店でこうしたイベントをさせて頂くことが出来、幸せです。
それも、ご参加下さる方々のオリーブオイルに対する関心と理解のお陰です。
ありがとうございました!


ご協力頂いたみなさま
  • 株式会社ユーロパス:ご協力ありがとうございました。(3番オイル:カステージョ デ カネナ ファースト・ディ・オブ・ハーベスト ピクアル)
  • AZ. AGR. SEBASTIANO FADDA:Grazie per la sua cortesia.(4番オイル)
  • RISOTRANTE HONDAリストランテ・ホンダ:今回も、素晴らしいお料理、サービス、ありがとうございました。