12名のプライベートセミナーを致しました。
会場は、セミナーでもプライベートでも何度もお世話になっている、西麻布の「Cucina 13 Aprile クチーナ トレディチ アプリーレ」
窓の外の色付き始めた緑と、店内にふんだんに飾られた季節の草花。秋を感じながらのランチセミナーです。
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ご参加のメンバーは、以前から定期的に出張しているお料理レッスンのグループの皆さまと、そのご友人たちです。
オリーブオイルセミナーは初めての方もいらっしゃいましたので、テイスティング開始までの少しの時間でしたが、写真をお見せしながら、美味しいエクストラバージンオリーブオイルはどう作られているのかだけご説明いたしました。
いつもお話している事ですが、美味しいオイルを作る為のポイントは、私たち消費者がオイルを購入して使用するまで気を付けなくてはならないポイントでもあるからです。

もう3年間もお料理レッスンを続けて下さっている皆さまは、テイスティングも慣れたものですし、感想も的確です。
とは言え、やはり毎回オイルは違いますので、これはどんなオイルだろう、、、と考えながらのテイスティングです。

今回のオイルは以下です。

今回使用したオイル
  1. イタリア 中部イタリア 2014年搾油。小さな農家で有機栽培されている。香りは赤いトマトやリンゴのようなフルーツ香。マイルドな味わいの中に、シャープな辛味も感じられるバランスのとれたオイル。
  2. イタリア サルデーニャ州オリエーナ 2014年搾油。有機栽培。緑茶のような香り。シャープな辛味がまず広がり、その後に少し苦味を感じる。搾油後約1年経つが、もたつくこと無く綺麗な味わい。
  3. イタリア シチリア州ラグーザ 2014年搾油。草をちぎったときのような香り。マイルドな味わいが多かった2014のシチリアのオイルの中で、辛味と苦味がしっかりとした希少なオイル
  4. 残念なオイル

テイスティングには味の比較の為に、残念なオイルを入れていますが、今回のオイルはその度合いが強く、上級者の皆さまは鼻を近づけるだけで分かった様子。
初めての方も、大きな×や、D評価をなさっていました。
「エキストラ・バージン・オリーブオイル」と表記されてはいても、中のクオリティは様々です。やはり香りと味わいを確認することは非常に大切です。
更にいえば、何故そのオイルが残念なのか。これを考えることで、よりオリーブオイルに対する理解が深まります。

2番のオイルは、昨年の秋に訪問した生産者のオイルです。
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訪問した際の写真をお見せして、どんな場所でどんな方が作っているのかをご説明致しました。
ご夫婦が中心となってご家族で作っています。
毎年非常に質が高く、美味しいオイルを生産しているのですが、昨年はこの地域は夏から秋に掛けてほとんど雨が降らなかった為、収量・油量が激減してしまいました。
それでもこれだけ美味しいオイルを生産できたことは、知識に裏付けられた努力の結果です。

ところが、、、、
残念ながら、やむを得ない事情があって今年はインポートされず、今は日本の市場には出回っていません。
不作に苦しんだ2014年のヨーロッパのオリーブオイル。その状況下でもこのクオリティを誇る彼らの努力の結晶を、多くの方にご紹介したいと思っていましたので、本当に残念でした。

今回は、生産者から直接頂いた貴重なオイルを使用させて頂きました。
今年は順調のようです。来年はもっともっとご紹介したいと思っています。

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オイルのご説明が終わり、お料理とワインの説明を頂きます。
お料理に合わせてワインを頂ける、Degustazione(デグスタツィオーネ 試飲)のコースも設けて下さっていました。ワインがお好きな方には嬉しいコースです。

今回、とても贅沢で、歓声が上がる前菜からスタートです。

前菜:「菜園と海」季節の野菜・魚介 オリーブオイルのアッビナメント

10種のお料理が乗っています。
穴子とトマト、ボタン海老とセロリアック、秋鮭とビーツ、メカジキと九条ネギ、カルチョーフィとセミドライトマト、新イカとボッタルガ、マグロと紅くるり大根、秋刀魚とコルノディブーエと万願寺唐辛子、牡蠣とクレソン、カマスと浜詰里芋。
それぞれが、火を入れたり、マリネしたり、燻製したり、コンフィであったりと、ひとつひとつ丁寧に調理されています。
これに、1番から3番までのどのオイルが合うのか、各自で考えながら掛けて召し上がって頂くスタイルです。

この美しさだけでも感動してしまいますが、こんなに様々な料理それぞれに合うオイルを考えるという楽しさ。本当に贅沢です。

それぞれのオイルの最も美味しいと感じたアッビナメントは以下でした。
1番のオイルには「ボタン海老」
2番のオイルには「秋鮭」
3番のオイルには「牡蠣」
特に、3番のシチリアの強いオイルが牡蠣に素晴らしく合いました。

プリモ(パスタ):4種のチーズを詰めたトルテッリ

自家製のトルテッリの中には、マスカルポーネ、リコッタ、パルミジャーノの、ストラッチャテッラが、とても良い配分で入っています。
ソースはヨーロッパ産5種類の茸のトマトソース。

この帽子のような形のパスタには、2番のサルデーニャのオイルをたっぷりと掛けて頂きます。ひだにオイルが溢れるくらい。清々しい香りも溢れます。

この皿に無かった緑の香りと味わいが加わり、チーズの甘味を引き立て、トマトソースの少しの辛味を、しっかりと拾い出します。
この調和。素晴らしく美味でした。
文句なくアッビナメント大賞です。

頂いている途中、サービス担当の奥様が、どんな茸かこうして見せて下さいました。
13aprile「これはどの茸だろう」と、食材を見ながら頂くのもとても楽しいことです。

セコンド(肉料理):鹿児島黒豚のポルケッタ 天狗茄子

 

 

 

 

 

 

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先ずはこんな風に焼き上がりを見せて頂きました。

脂に油を掛けます。
豚の質の良い脂に、3番の辛味と苦味が強いオイルを掛けると、さらりとします。
通常のポルケッタより、ハーブをかなり控え目にして下さっているので、オイルの香りをより感じる事ができます。
お好みで。と、広島のレモンや、自家製のマスタードも出して下さいました。
単調になりがちな所を、味の変化を楽しみながら頂きました。

また、添えられた天狗茄子が甘く、コントルノ(付け合せ)以上の存在に。
これもまたこうして実物を見せて頂きました。
13aprileこの天狗茄子は愛知で作られているそうですが、収穫を迎えるまでにほぼ1ヶ月掛かり、しかもとても繊細で天候に非常に左右されるとのこと。
それゆえ、生産者が少なく、東京では市場には出回っていないそうです。
大きいのですが、この美しい色が表すように、お味は繊細。
今回は焼いたものでしたが、甘味があり、質感はしっかりと。美味でした。
これにはもちろん1番のオイル。繊細さを引き立て合います。

ドルチェ:ヘーゼルナッツのトルタ レザーウッドハニーのジェラート

このはちみつのジェラートがなんとも美味でした。
オイルは2番が合いました。トルタには3番です。

またも貴重な食材です。
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レザーウッドはタスマニアの樹木で成長が遅く、樹齢100年以上経たないと、蜜が出ないそう。貴重な資源ゆえ、養蜂家は認定が必要で現在は5名のみだそう。
ジェラートにしてもしっかりと香りが主張する、濃いお味の蜂蜜でした。